新たなビジネス展開のためにも優秀な人材確保は必須であるが、売り手市場が続く現状において採用活動は、少子化も加速する中でますます難しい。一方で、苦労して採用に至っても、退職代行サービスの台頭もあり、早期退職の防止も大きな課題となってきた。
◆採用活動解禁と実態
関係省庁(内閣官房、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省)連絡会議が策定した、2024年度(2025年3月)に卒業・修了予定の学生の就職・採用活動日程は以下の通りで、経済団体などに対しその遵守を要請している。 (※1)
・広報活動開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
・採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
・正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降
つまり今月(6月1日)から採用選考活動が解禁となったのだが、実態はどうであろうか。
ジェイックが調査した「25卒採用活動に関するアンケート」では、3月1日以前に採用選考を開始する・予定している企業が59.8%、約6割で、3月1日以前に内定や内々定を出す企業は45.5%、約半数となっている。
また、リクルート就職みらい研究所の就職プロセス調査(2025年卒)によれば、2024年6月12日時点の就職内定率は84.8%と、引き続き高い水準で推移(昨年80.0%、一昨年76.5%)。と報告している。
あまりにも実態とかけ離れた就職・採用活動日程の策定に、果たしてどれほどの意味があるのであろうか、疑問に思うのが普通であろう
◆早期退職の問題と退職代行サービスの急伸
一方で、せっかく入社までこぎつけても、それまでの時間やコストが水の泡と帰す早期退職も増えている。
厚生労働省が昨年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%(前年度と比較して1.1ポイント上昇)、新規大学卒就職者が32.3%(同0.8ポイント上昇)となっている。
特に昨今、退職代行サービスがマスコミなどにも取り上げられ、容易に退職ができるといった風潮も形成されつつある。
退職代行サービスはすでに100社以上あるといわれているが、メディアにもよく露出する大手「モームリ」では、日々退職代行の実績を公表しており、5月だけで過去最多の1712件(うち正社員1176件)の退職を確定させている。
◆早期退職防止策を“ChatGPT”に聞いてみた
これからは設備投資よりも人材への投資が重要と言われ始めてからも久しいが、その回収が大きな課題となった今、採用活動と同じく、早期退職防止策にも相当の注力が必要となる時代となったのだ。
社員の早期退職防止策については、さまざまな機関や人事サポートサイトに数多の方法が掲載されている。そこで、ChatGPTに「新入社員の早期退職を防ぐ方法は?」と聞いてみたところ、以下のように応えてきた。(項目のみの抜粋)
1.オリエンテーションと研修プログラム
2.メンター制度
3 コミュニケーションの促進
4.キャリアパスの明確化
5.福利厚生と労働環境の改善
6.社内イベントやチームビルディング
7.フィードバックの収集と改善
これらの対策を組み合わせることで、新入社員の早期退職を防ぎ、会社に長く貢献してもらえるようにすることが可能です。
筆頭に挙げている“オリエンテーションと研修プログラム”の“研修プログラム”については「業務に必要なスキルを身につけるための体系的な研修を提供し、新入社員が自信を持って業務に取り組めるようにします」と解説している。
JAGATが階層別、職種別に提供する通信教育や各種新人向けセミナーをうまく活用し、早期退職防止策の一助となれば幸いである。
(研究・教育部 橋本 和弥)
(※1)学生の就職・採用活動日程については、2017年までは「経団連」により「採用選考に関する指針」が策定されてきたが、2018年10月に今後「採用選考に関する指針」を策定しない方針を表明した。以来、政府において、毎年度関係省庁連絡会議を開催し、指針を策定、発表している。
→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184189_00002.html
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