「令和2年(2020年)産業連関表」が6月25日に公表されました。産業連関表は1年間に行われた全産業の取引を一つの表にまとめたもので、数値をそのまま読み取ることで、その年の産業構造などを把握できます。(数字で読み解く印刷産業2024その5)
5年ぶりに公表の産業連関表
産業連関表(全国表)は、日本国内で1年間に行われた財・サービスの生産状況や取引状況を行列(マトリックス)にした統計表です。各産業が相互に支え合って社会が成り立っているという実態を、具体的な数値で見ることができます。
関係府省庁の共同事業として、西暦の末尾が0または5の年を対象に作成されています。今回の「令和2年(2020年)産業連関表」は、前回の「平成27年(2015年)産業連関表」(2019年6月27日公表)から5年ぶりに公表されたものです。
2020年の財・サービスの総供給は1120兆円、そのうち国内生産額は1027兆円(総供給に占める割合は91.7%)、輸入は93兆円(同8.3%)です。
国内生産額の費用構成は、中間投入率が45.3%、粗付加価値率が54.7%です。
財・サービスの総需要は1120兆円、そのうち中間需要は465兆円(総需要に占める割合41.5%)、国内最終需要は573兆円(同51.1%)、輸出は82兆円(同7.4%)です。
印刷産業の財・サービスの総需要(総供給)は約4兆円
同じ項目を印刷産業について見ると、2020年の総供給は4兆1727億円、そのうち国内生産額は4兆875億円(総供給に占める割合は98.0%)、輸入は851億円(同2.0%)です。
国内生産額の費用構成は、中間投入率が39.4%、粗付加価値率が60.6%です。
財・サービスの総需要は4兆1727億円、そのうち中間需要は4兆1156億円(総需要に占める割合98.6%)、国内最終需要は357億円(同0.9%)、輸出は214億円(同0.5%)です。
産業連関表は、最もサイズの小さい統合大分類(37部門)でも、最大10桁の数字のセルが37×37並ぶ大きな表です。そして、印刷産業はそのほんの一部、具体的な数字で言えば、国内生産額の0.4%にすぎません。そのため、統合中分類(108部門)以上のサイズにならないとその数字は把握できません。
JAGAT刊『印刷白書』では産業連関表を使って、印刷産業とその取引先産業の動きを見ています。ただし、統合中分類では印刷産業とほとんど関連のない部門が多いことから、印刷産業を別掲した統合大分類表を独自に作成しています。
現在『印刷白書2024』(10月発刊予定)の準備を進めていますが、限られた誌面で伝え切れないことや、読者からの問い合わせなどに対しては、「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。
(JAGAT 研究・教育部 吉村マチ子)