最新版『印刷白書2024』10月末発刊 ~Keynoteは“「創注」から「連携」、そして「共奏」へ”

掲載日:2024年10月11日

業界初の白書として1994年に発刊以来『印刷白書』は、印刷産業の動向把握に必要な公表データを網羅・掲載する年鑑として唯一の存在である。最新版の『印刷白書2024』は、Keynoteを“「共奏」ビジネス”とし、10月末の発刊に向けて鋭意制作進行中である。

 

『印刷白書』のkeynoteはこの3年間、pageのテーマと連動させてきた。もともと2018年度に、JAGATは調査研究、pageやJAGAT大会を始めとするイベント、セミナーなどの教育、そして印刷白書の共通テーマとして“デジタル×紙×マーケティング”を掲げ、デジタルマーケティング全盛の時代における、紙メディアの担うべき役割、強みが活きるストーリー、シナリオ創りを追求すべく、さまざまな情報提供に本格的に取り組み始めた。
それは翌年度、より実践的(飯の種となる)印刷の新たな価値を追求すべく「デジタル×紙×マーケティング for Business」として共通テーマを継続した。

2020~2021年度は、コロナ禍があらゆる人々の生活と産業に大きな影響を及ぼしたため、印刷白書では「コロナウイルスで変わる社会と印刷」、「with/afterコロナの時代印刷ビジネスを考える」を取り上げたが、2022年度より、JAGATでは再び印刷業界の近未来を展望して、印刷ビジネスが向かうべき方向性を漢字2文字のキーワードで象徴させ、pageのテーマ、印刷白書のkeynoteとしている。

2022年度のキーワードは「創注」とした。afterコロナの時代にあらゆる産業、業種において新たなビジネスが模索されるなかで、印刷物の価値や必要性についても再考された結果、注文が減ってしまっては印刷ビジネスは収益を確保できない。また、今後デジタルマーケティング、PODなどが進化していくに従い、小ロット化にも拍車がかかり、注文を増やす戦略をとる必要がある、との認識から、注文を創り出すための戦略をさまざまな角度、立場から考察を行った。

2023年度、JAGATとしてこのテーマをさらに突き詰めていくと、印刷業界が創注を進展させるためには“連携”を生かしたビジネス構築力が決め手である、との認識に至り、page2024のテーマを“連携”と公表し、『印刷白書2023』のkeynooteを“印刷業界の「創注」に向けた「連携」戦略”とした。

そして今年度は、漢字2文字シリースの集大成として「共奏」とした。「連携」=デュエットから、シンフォニーを共に奏でる「共奏」に発展させるイメージだ。
これからの印刷会社が、新しいビジネスにシフトしていくためには、クライアント、マーケター、消費者、デジタルメディアなどによる「共奏」が不可欠であり、この「共奏」ビジネスこそが、JAGATが考える印刷ビジネスの本流であるからだ。

『印刷白書』は昨年、発刊30年目にして初めてデジタル印刷を活用し、カラー版となった。すべての図版、グラフなどがきれいで見やすくなったと好評を得たが、カラー化2年目の今年度版ではさらにわかりやすくなるよう、誌面デザインにも工夫を凝らしている。
また、「印刷会社の経営課題」の章では、初めて「サステナビリティ」及び「事業承継」について取り上げた。技術的進化によって多くの課題が解決されてきた生成AIについても、昨年に続き印刷業界における利活用について解説している。

『印刷白書2024』は10月末発行予定で制作進行中である。JAGAT会員各社には例年通り代表者宛に献本するのでぜひご期待いただきたい。

(JAGAT 研究・教育部 橋本 和弥)

 

【関連情報】
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『印刷白書2023』keynote:創注→連携戦略