2024年の総広告費は7兆6730億円(前年比4.9%増)、デジタル躍進とリアル回復で3年連続で過去最高を更新しました。(数字で読み解く印刷産業2025その1)
全体の約5割を占めるネット広告費、プラスに転じたマスコミ四媒体広告費
電通「2024年日本の広告費」が2月27日に発表されました。「日本の広告費」は、日本国内で1年間に使われた広告費(広告媒体料と広告制作費)を推計したもので、「マスコミ四媒体広告費」「インターネット広告費」「プロモーションメディア広告費」の3つのカテゴリーに分類されています。
2024年(1~12月)の総広告費は7兆6730億円と、2021年から4年連続で増加し、3年連続で過去最高を更新しました。好調な企業業績や消費意欲の高まりを受けて広告出稿が増え、3つすべてのカテゴリーが成長しました。好調が続く「インターネット広告費」も過去最高を更新し、総広告費に占める割合は47.6%(前年は45.5%)と5割に迫っています。また、減少傾向にあった「マスコミ四媒体広告費」が3年ぶりにプラスに転じたのがトピックです。
「インターネット広告費」(インターネット広告媒体費、インターネット広告制作費、物販系ECプラットフォーム広告費の合算)は3兆6517億円(前年比9.6%増)で、前年より3187億円増加しました。
2019年に2兆円を突破したインターネット広告費は、2020年にはコロナ禍でも唯一プラス成長(同5.9%増)を達成し、2021年にはマスコミ四媒体広告費を初めて超え、2022年以降は3兆円超えの市場となっています。
また、マスコミ四媒体の事業者が主体となって提供するインターネット広告媒体費を意味する「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」は、1520億円(前年比17.5%増)となりました。特にテレビ番組の見逃し配信などが急拡大したことで、「テレビメディア関連動画広告費」が653億円(同47.4%増)と前年に続き大きく増加しました。また、radikoやPodcastなどの好調により、「ラジオデジタル」が34億円(同21.4%増)と着々と伸びています。
「マスコミ四媒体広告費」は 2兆3363億円(前年比0.9%増)で、新聞以外の雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費が増加し、3年ぶりに前年を上回りました。
「プロモーションメディア広告費」は1兆6850億円(前年比1.0%増)で、人流回復に伴い「交通広告」「屋外広告」「POP」などのリアルな場面で活気が戻り、加えて催事企画が増加したことにより、「イベント・展示・映像ほか」も前年を上回っています。
JAGAT刊『印刷白書』では、印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。
(JAGAT研究・教育部 吉村マチ子)