印刷会社からJAGATへ「何を買ったら良いですか?」的な質問が多い。その中で今後の印刷業に必要な知識、技術情報を選んで紹介する。こういう技術を勉強しなければ生き残れない。伸びないという視線で見たポイントである。
JAGATで「印刷ビジネスにとって必要な知識や素養は何なのか?」という、余り取り上げられないが重要なポイントをピックアップしたのが今回の研究会である。紙はコスト競争が激しくて、紙以外の印刷(ブルーオーシャン)を求める傾向もあるので、その辺にも着目している。
1.マイクロテクニカ検査装置
まず、第一が検査装置である。
これはバリアブル印刷の場合は生命線になる技術なのだが、全品検査を基本にして基本的なことから解説していただく。後付けも可能な機種があり、デジタル印刷では必須の技術である。今回のIGAS展では江戸風長屋のディスプレイで展示されていたマイクロテクニカさんに語っていただく。
2.花王の水性インクジェット顔料インク
界面活性剤の知識とその技術を応用した素材、特にインクである。印刷は紙にインキを乗せることを生業にしてきたが、コスト競争の結果、紙はあまり儲からないということになってしまった。いま注目されているのがフイルム類に印刷するクリアフィルムや軟包装材のパッケージが注目されている。印刷業としてはすぐに食品パーケージに行けるわけではないが、基礎的な素養として知っておかなければならないことは多い。
ご存じのようにフイルムにそのままインクを乗せても定着しない。しかし界面活性剤を混入したインクを使用したり、フイルム表面にコロナ処理することでフイルム面への印刷が可能になるのだ。この辺のノウハウに長けた花王さんがIGAS2018では一際目立っていたので解説をお願いした。
3-1.FF Acuity Ultraシリーズ
印刷は紙に大量に印刷するものという概念が出来上がっていたが、大型プリンタで大判のビルボード印刷等も今や印刷会社のビジネスとして定着している(昔は看板屋もしくはコピー屋さんという業種だった)。
今回FFから5mサイズの大型UVプリンタが展示されていたが、需要は必ず着いてくるものだ。現在はデジタルサイネージ等とリンクしたり、コンビネーションでディスプレイされたりしている。IGAS2018で何が一番目についたか?と聞かれればこの製品であった。
3-2.FF Jet Press 540WV
併せて軟包装材用プリンタだが、FFが開発しているので安心できるというのが正直なところだろう。紙以外に乗り出すことも近未来には十分考えられることなので、注目しておかなければならない製品である。
4.KodakProsper+UTECO軟包装材向けプリンタ
Prosperの高生産性とUTECO社の軟包装材ノウハウを組み合わせて、高生産性を誇るデジタルプリンタである。個人的には注目に値する製品であった。本格的にビジネスを目指す方には打って付けと言える製品である。
こんなことで、バリアブル印刷を見据えた検査装置の基礎知識。紙以外、例えばフイルムへ印刷する場合の条件、まずはインクの知識。そしてプリンタ。また大判のプリンタについて整理したいと思います。
(JAGAT 専務理事 郡司秀明)
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2018年9月28日(金) 14:00-17:30
「もう機械の時代ではない」と言われて久しいが、節目にあたる展示会ではビジネスのポイントとなるような製品・技術動向は押さえておきたい。
バリアブル印刷を見据えた検査装置の基礎知識。紙以外、例えばフイルムへ印刷する場合の条件、まずはインクの知識。そしてプリンタ。また大判のプリンタについて整理する。