去る9月11日、東北地区に続き今年度2か所目のJAGAT地域大会“JUMP中国・四国2018&ジョイントセミナー”を、広島印刷会館にて開催した。ジョイントセミナーともに定員の30名に早々と達し、先着順のため参加希望者をお断りせざるを得ない盛況であった。
講演会に先立ち、JUMP中国・四国企画推進メンバー代表として中本俊之氏(中本本店 代表取締役/中国地区印刷協議会会長)より開会宣言がなされ、続いて今年6月の総会を経て新たにJAGATの副会長に就任した網野勝彦(研文社 代表取締役社長)が挨拶に立った。
網野副会長は「今年から会社方針として設備やハードに金をかけることを止め、教育と実践に金をかけると宣言した。営業社員はほぼ全員年間を通じて何らかの勉強する。製造部については3年間地道に半数の社員が通年で学ぶという機会を与えるように変えてきている。変化が激し時代になり、そこを乗り越えていくためには人間の知恵、社員のアイデアを引き上げて実践していく経営の力が大事だと思い、そのような取り組みを進めている最中である」とのことで、「変化を受け入れながら自らを変えていくことがこれからの印刷業界にとって非常に大事なテーマだと感じている」と語り、本日の講演会の意義と導入へとつなげた。
講演プログラムは、6月のJUMP東北同様「JAGATからの報告」でスタートし、藤井建人JAGAT研究調査部部長による「印刷ビジネスの最新動向」及び郡司秀明JAGAT専務理事「印刷ビジネスはこう変わる~“アライアンス”&“デジタル×紙×マーケティング”」と題し、解説を行った。
そして、今年度のJAGAT共通テーマに掲げている「デジタル×紙×マーケティング」に沿って、特別講演には引き続き(株)グーフ代表取締役CEOの岡本幸憲氏に登壇いただいた。
「デジタルマーケティングと融合する新たな紙の可能性」と題した講演の概要は、JUMP東北の開催報告で簡単にまとめたが、岡本氏がここでも強調していたことは、「進化したデジタル印刷技術とデータが結びつくことによってデジタルメディアと同様な紙メディアの活用事例が表れ始めている」「未来の印刷テクノロジーです。と、B1をフルバリアブルで13,000/時間・・・、ハガキなら1時間に約30万枚を両面フルカラー&バリアブルで印刷可能?100万件のDMも、データ入稿→印刷→加工→当日が可能になる。と説明するとお客様は大喜びするが、印刷業界はルーペを取り出す」など、デジタル×紙×マーケティングで儲かる可能性が拡大することを知らないマーケターがまだまだいる一方で、印刷業界側からそれを訴求する、提案することも非常に少ないということである。
それは顧客側、印刷業界ともに既成概念にとらわれていることが一つの要因ではないか。デジタルとアナログを対立構造で捉えることなく、サービス視点でデジタルの未来や可能性をきちんと議論すべきだということである。
JUMP冒頭で副会長が述べた“変化を受け入れながら自らを変えていく”に通ずる提言ではないかと感じた。
JUMPに先立ち開催したジョイントセミナー「ゼロから始めるWebを受注するための営業術」は、講師に(株)BLY PROJECTの布施貴規氏を迎え、顧客のマーケティング活動をWebを中心とした様々なメディアでサポートする自らのビジネス経験を踏まえ、印刷営業がその“強み”を活かして、Webを受注するためにどうすべきか、何を学ぶべきか、組織としてどのような事業体制で臨むべきかなどについて解説していただいた。参加者からは「実務的な話ですぐに実践しやすい」「見積書の見方、作り方が大変参考になった」などの声が寄せられ、大変好評であった。
次回の地域大会は、11月17日(土)に福岡にてJUMP九州2018、11月30日(金)に大阪にてJAGAT近畿大会を開催する。
(CS部 橋本 和弥)