『THIS POINT FORWARD』を出版する

掲載日:2015年1月21日

JAGATでは昨年(2014年)ずっとJoe Webb博士の「未来を破壊する」について考えてきたが、この度Webb博士の最新刊である“THIS POINT FORWARD”を出版することになった。

「未来を破壊する」は問題提起編的内容で、「このままでは印刷業界は大変なことになってしまいますよ」という予言的な本である。その良くない未来を破壊するのが「未来を破壊する」の趣旨なのだが、ひと言で言えば「実に美しい印刷仕上がりだ」と自己満足に陥ることなく、客が望んでいることをやれば良いということだけなのだ。しかし問題提起ばかりされても、何をやったら良いのか?さっぱり分からないというのが本音だろうし、そういう業界関係者のために書かれたのが、この“THIS POINT FORWARD”なのである。そして、この本の日本語訳版を山下潤一郎訳、JAGAT監修で出版する準備中なのである。

内容の簡単な紹介だけさせていただくと、第1章では、さまざまな経済データが示されており、印刷業界にとって緊急事態であるという警鐘を鳴らすのが主たる目的である。そして第1章では、現在の状況に至った過程が示されている。この地点、つまりTHIS POINTで、印刷を取り巻く環境や印刷ビジネスを率直に評価するのである。そして残りの章で“THIS POINT FORWARD”を展開していくのである。

第2章では、測定について議論している。電子メディアがマーケティング担当者やコミュニケーター(広報宣伝担当者、IR担当者、など)によって広く使われているのは、電子メディアが測定可能だからである。以前は、測定の意味すら誰も理解していなかった。しかし現在、多くの人間が効果測定について理解している。これは、印刷物は測定不可能だと言っているのではない。印刷物も測定できるのだ。特に、印刷物のバリュープロポジションを高めたいと考える人は、その方法を理解する必要がある。

第3章では、マーケティング・オートメーションという、新しく出現しつつある技術動向について議論する。「それは何か?」「誰が行っているのか?」「なぜ、それを行っているのか?」「印刷物とどのような関係があるのか?」疑問は多いが。実際には、印刷物と非常に多く関係しているのだ。

第4章では、恐怖(fear)、不確実さ(uncertainty)、疑い(doubt)、そして惰性につながる道筋を明らかにする。さらに、2020年を見据えたビジネスへの移行を考えるのではなく、2020年を見据えた新しいビジネスをゼロベースで構築することに注目する。ゼロベースでスタートする必要があるケースは、かなり多いのだ。この辺からがこの本の真骨頂である。

第5章では、2020年を見据えた新しい印刷ビジネスつくりに必要となる具体的なビルディングブロック(構成要素)について議論する。また、悪い(過去問ばかりを暗記する受験勉強)「バックミラー型戦略」と良い(誰も考えなかった画期的な方法で問題を解く)「先見型アプローチ」を比較し、それらの違いを明確にする。

第6章では、印刷会社が2020年を見据えたビジネスを構築するために必要な基本戦略をまとめる。また、より深く勉強するための参考書籍も紹介している。

また、各章の間では、何人かの「ある日の過ごし方」を幕間劇的に紹介している。取り上げている人たちの年齢は10代後半から70代とバラバラで、また日常的に使うメディアもさまざまである。これらの幕間劇は現実における人々のメディアの使い方を読者に理解しやすいように編集されている。

以上が“THIS POINT FORWARD”の大まかな内容なのだが、出版に先駆けてのイベントとしてpage2015の基調1「未来を創造する~Post未来を破壊する~」ではこの本の中身についても議論していくつもりである。是非ご聴講いただきたくお願いいたします。

(JAGAT理事 郡司秀明)

関連イベント

【基1】未来を創造する—Post未来を破壊する— 【page2015・2月4日(水)開催】

『未来を破壊する』で指摘した問題点、つまりアメリカで起こった現象が、そのまま日本でも再現されるのか?それとも日本特有の現象があるのか?それでは具体的に何をすれば良いのか?!印刷ビジネスについて根本から考え直してその実現性を検証する。