近年、生産年齢人口の減少に伴う人材難が社会問題として提起され、労働環境の改善や生産性向上にどう向き合うかが企業の課題になっている。
生産性を考える際、重要なのは効率化や環境改善に加えて、企業で働く個々の能力や意欲を底上げし、成長のための機会を継続的にサポートしていくことではないだろうか。
「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」は、 政府が掲げる「働き方改革」の一貫として、全国の中小企業を対象とした「生産性向上支援訓練」を2年前から実施している。この訓練は、民間の事業団体が実施機関となり、中小企業の抱える課題解決や人材育成ニーズへの対応を目的として「生産・業務プロセスの改善」や「組織マネジメント」等の各種教育プログラムを、分野別に実施している。
JAGATは、2018年度から実施機関として認定され、印刷会社を対象に、印刷ビジネスの展開に必要な「企画提案力・マーケティング・新商品開発手法」等をテーマにした各講座を開催しているが、いずれも定員に達するなど盛況を呈している。カリキュラムは、紙メディアとマーケティング情報を融合して新たな価値を生み出すための提案手法や組織的に営業力を強化していくためのマネジメント手法など、印刷ビジネスの深耕を目的としたプログラムが中心である。
カリキュラムの特色として、全コース2日間集中講座(12h)として設定しているため、知識習得と同時に、事例演習に取り組むことによって、より実践的に体得できるプログラムとなっている。
これまで実施した講座の一例では、印刷物とその他のメディアを組み合わせた提案手法のメソッドを解説した後、グループに分かれてメディア特性を活かした企画提案をまとめる演習を実施した。吸収した知識を、プロセスを通して目に見える形にアウトプットし、実践へつなげるトレーニングの場である。知識習得だけでなく、参加者同志のディスカッションや情報交換を通して、お互いの連携構築にも役に立ったという感想も見られた。
地方からの参加企業が全体の4割を占め、特別価格(1コース5,400円)ということもあり、初めてJAGATの研修に参加した企業も多い。2日間集中講座で、この機会に効率よく、新しい印刷ビジネス創造のためのヒントをつかんでいただきたい。
■次回「生産性向上支援訓練」
予算達成を実現する印刷営業組織の作り方
組織力を強化し、戦略営業を展開するための基本と実践について学ぶ。
3/12(火)・3/13(水)2日間開催
CS部 原 淳子