3月の売上高は△0.6%。2月のプラス(+0.3%)からマイナスに転じたが、微小な変化であって実質的には2カ月連続で±0の前年同水準であったと見て良いのではないか。
地域別では、首都圏(△3.5%)が3カ月連続、大阪圏(△0.1%)が7カ月連続のマイナス。名古屋圏(△2.3%)は3カ月ぶりのマイナスに転じた。首都圏の落ち込み幅は依然として大きい。大阪圏のマイナス幅が縮まったのは、昨年3月のマイナス幅が大きかった(△4.0%)ことによる前年要因だから回復の兆しではない。7カ月連続マイナスは16年10-17年3月以来。豪雨・台風災害を契機にした落ち込みが長引いている。なお、甲信越静は14年6-8月以来の3カ月連続プラスと好調なことが特筆される。
業種・業態別では、商業印刷(△1.3%)が4カ月連続のマイナス。東京に多い出版印刷(△0.6%)は3カ月ぶりのマイナスだが小幅で安定は継続。地方に多い総合印刷(△0.2%)も2カ月ぶりのマイナスだが小幅。紙器・事務・その他(△3.1%)は3カ月ぶりのマイナス。
規模別では50~99人(+3.3%)が2カ月連続プラス。30人未満(△0.3%)は7カ月連続のマイナスと苦戦は続くが、マイナス幅は縮まってきた。30~49人(△10.4%)、100~299人(△1.4%)、300人以上(△1.8%)はやや弱含みの一進一退で推移。受注件数(△2.7%)は再びマイナス。北海道・東北・関東(+2.3%)は2カ月ぶり、首都圏(+0.1%)は3カ月ぶりにプラス。一方、甲信越静(△4.5%)、名古屋圏(△3.3%)、大阪圏(△1.1%)など首都圏以西は軒並みマイナスだった。材料仕入額は、用紙(+3.6%)、インキ(+4.8%)、CTP/PS版(+5.3%)がそろって2カ月連続の増加。値上げの影響が現れており、仕入原価の上昇が懸念される。労働時間(+0.9%)も2カ月連続の増加で、こちらは仕事の増加が期待される。
【印刷会社経営者の声】
■ 長野:総合
営業力を養い、もっともうけにつながるための分析をして収益性を高めることが必要です。例えばDMはウェブに比べて遅いと言われますが、制作から発送までを見える化して改善、紙媒体の本質的価値を生かす努力をするべきでしょう。
■ 岐阜:その他
暴言・失言で職を追われる人がいる。人前で話す機会も少なくないので気を付けたい。文章も思わぬ誤解を生んだり、問題を引き起こす原因となり得る。この記事も含め、十分に配慮しながら発信していきたい。
■ 大阪:商業
用紙価格の値上げを受け入れたものの、用紙がない(供給できない)という事態については、用紙メーカーに対して強い憤りを感じます。紙の需要減を業界が自ら加速させているように思います。
■ 和歌山:商業
売り上げ減が続く中、重要指標を受注件数に絞って営業活動を続けた結果、売り上げ減への歯止め効果が見られた。売上高と受注件数には密接な相関関係があることを再認識している。今後はさらにロングテールの開拓に力を注いでいきたい。
■ 鳥取:商業
諸団体のボランティア的な活動を続けるべきか思案しています。世代、時代が変わり、目的も変容している昨今、メリットか気持ちがないままお付き合いを続けるのは難しいように思います。
(『JAGAT info』 2019年5月号,印刷経営ウォッチング,p68-69より抜粋して要約)