国際見本市「インテリア ライフスタイル」で見つけた紙ものたち2018

掲載日:2020年1月7日

インテリア・デザインの見本市で、多彩な紙製品が発表される

インテリア ライフスタイル会場風景

「Interior Lifestyle Tokyo/インテリア ライフスタイル」(主催:メッセフランクフルト ジャパン株式会社)が2018年5月30日(水)〜6月1日(金)に東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催された。

第28回を迎えた今回は、3日間で25,302名が来場、世界29カ国・地域から810社(国内:615 社 海外:195 社)が出展し、会場はライフスタイルのトレンドを探す来場者で賑い、商談が活発に行われた。

「インテリア ライフスタイル」は近年、家具や雑貨などのインテリア製品にとどまらず、服飾雑貨、食品、ギフトアイテムなど製品分野が多様化している。そのなかで、紙素材や印刷・製本加工技術を応用した製品も多数発表されている。

数多くの出展から一部を紹介する。

大成紙器製作所―紙の道具「紙器具(しきぐ)」を提案

大成紙器製作所

パッケージ印刷の老舗、TAISEI(株)が母体。
書き込みのできる紙製マグネット、筒型のぽち袋「POCHI-PON」、サイズ違いの箱の組み合わせで、デクストレーのような使い方ができる「FUMIBAKO」 などを紹介した。

ikue―製本技術が生んだ、紙と金のジュエリー

ikue

(株)TANTと(有)篠原紙工による共同開発。
古来より書物を劣化から護る紙加工技術として培われてきた「三方金」の技術を応用し、スタイリッシュなアクセサリーに発展させた。7月発売を目指す。

石川紙業(株)の美濃和紙プロダクト

美濃和紙の産地、岐阜県美濃市で創業明治35年の和雑貨メーカー。
「豊かな日本の心をプレゼント」をテーマに、和紙のマグネット、コースター、がま口、ケース類、ブローチ、和紙貼り陶器人形など、多彩な製品を展示。

kamiterior(カミテリア)―紙をインテリアに

カミテリア

ザラザラ、デコボコなど、紙の表情をテーマにしたメモ「memoterior」、立ち上がるシール付箋「POPit」、好きなところに貼って楽しむ新感覚ペーパー・インテリア「airflow series」などのラインアップを展示。

KamiPLAY(カミプレ)―「心にひびく紙のもの」がテーマ

カミプレ

萩原修、鷲見恵史、馬渕 晃、矢野まさつぐの4人のクリエイターが全国を旅して出会った紙や印刷加工技術をもとに作ってきた。
紙風船をアレンジした動物や国旗のシリーズ、祝儀袋にもお面にもなる「かみめん」など、遊び心あふれる製品を展示。

PAPER MESSAGE(ペーパーメッセージ)―印刷会社による紙製品ショップ

PAPER MESSAGE

(公財)高知県産業振興センターのブースに出展。
本山印刷(株)が運営し、高知市帯屋町と東京・吉祥寺に実店舗を持つほか、オンラインショップもある。
ウェディングアイテム、ボックスやカードなどの自社製品を展示。

frel.―紙の風合いを生かしたデザイン雑貨

frel.

岩橋印刷(株)[現:プログラフ(株)]によるプロダクト。
カドを立たせた箱にステーショナリーをセットした「お道具箱 KADO」のほか、動物をモチーフにした「アニマル インデックスシール」「ぽちマル」など可愛らしいステーショナリーを紹介。

PALEVEIL(ペールベール)―薄紙を生かしたペーパープロダクツ

ペールベール

薄紙印刷の高い技術を持つ岩岡印刷工業(株)が、デザイン会社のSAFARI incとのコラボで立ち上げた。
使用する用紙はオリジナル開発。ノート、新製品のカレンダーなどを展示。

GOKANKAKU―五感から広がる新たなライフスタイル

GOKANKAKU

創業130周年を迎える祝儀袋など紙製品の老舗企業(株)マルアイが手掛ける。
和紙で花をかたどったフレグランスディフューザー、小さな水引のフレグランス、UVシルクスクリーン印刷による点字をデザインに生かしたカードやぽち袋などを展示。

tabie―旅をテーマにしたステーショナリー

tabie

特殊印刷やダイカット技術に定評のある(株)マルモ印刷の新ブランドで、8月に発売予定。
世界の名所が起き上がるポップアップメモ「ポップアップワールド」、旅先のチェックリスト作りに役立つTo-Doリスト「スルコト」、ふた付きポケットファイルなどを展示。

 +lab(プラスラボ)―日常をちょっと楽しくするステーショナリー

+lab(プラスラボ)

名刺・封筒をはじめとする紙製品で知られる(株)山櫻が手掛ける。
じゃばら状に開き、時間や思考の流れに沿って記録できる「アコーディオンノート」、折り筋に沿って封筒が作れるノートパッド「フウトウパッド」などを展示。

紙と印刷で、暮らしにうるおいと喜びを

以上、紙と親和性の高いステーショナリーが目立つ傾向にはあるが、ファッション雑貨、インテリア用品、玩具などへの展開例も見られる。
紙と印刷は、情報を伝えるだけでなく、私たちの暮らしに潤いと喜びをもたらしてくれるものでもあるのだ。

そして印刷関連企業の出展がいくつも見られるのは嬉しいことだ。インテリア・デザインの市場に参入していくには、デザイン力に加えて印刷物製造とは異なる独自の技術や知識、マーケティング、プロモーション手法など、いくつものハードルを超えなくてはならない。しかし試行錯誤のなかから、新たなビジネスパートナーとの出会いがあり、スタッフの成長、企業の活性化といった変化も生まれるに違いない。

紹介した企業とブランドが消費者に長く愛され、継続発展していくことを願う。

*初出:「紙とデジタルと私たち」2018年6月15日

(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)