印刷業定点調査 各地の声(2019年10月度)

掲載日:2020年2月20日

10月の売上高は△2.7%、9月に消費増税前の駆け込み需要が膨らんだ反動減と、台風19号・21号の影響を受けた。

9月に特需的要因が3つ重なって+20.4%という空前の高さを記録した差し引きで考えれば、短期的な反動減は小さく抑え込まれたともいえる。9月までの好調さを10月も継続した印刷会社も少ないながらあった。しかし増税の長期的な影響が11月以降、どこまで長引き、深刻化するかは見極めを要しそうだ。

地域別では、首都圏(△6.2%)と大阪圏(△7.0%)をはじめとした全国の多くの地域で大きく落ち込んだ。このような状況下、名古屋圏(+8.2%)だけは2カ月連続のプラスを記録。甲信越静から中部にかけた列島央部は比較的堅調だった。

業種・業態別では、商業印刷(△8.5%)が4カ月ぶりのマイナス。東京に多い出版印刷(+14.5%)は2カ月連続のプラス。地方に多い総合印刷(△1.1%)は5カ月ぶりのマイナス。紙器・事務・その他(△1.9%)は2カ月ぶりのマイナス。景気との相関の強い商業と総合において特に増税の影響が顕著だった。

規模別では30人未満(+0.8%)が2カ月連続のプラス、30~49人(△7.1%)が3カ月ぶりのマイナス。50~99人(△5.0%)は2カ月ぶりのマイナス。100~299人(△7.6%)は4カ月ぶりのマイナス、300人以上(△0.9%)はほぼ前年なみ。総じて9月のプラス幅より10月のマイナス幅の方が小さいことは、増税の影響が小さかったことを意味する。

【印刷会社経営者の声】

東京:商業

20年4月の民法改正に対応する仕事が動き出しました。印刷は1~2月が山場を迎えるでしょうか。

東京:商業

9月までは特需に支えられて好調でした。10月は増税の反動減もあって落ち込み、さてこれからが心配です。

長野:総合

生産性の改善を金額ベースで把握しましょう。「見える化」することで改善の実感がわき、改善に向けたムダがなくなり、自分事として取り組むことができます。いろいろと登場している見える化支援ツールを検討して、工夫改善しながら運用することが求められます。

岐阜:その他

「能力」ではなく「働き」が大切、つまり「できる」ではなく「やる」が重要、というお話を伺った。「為さねば成らぬ何事も…」とはよく言ったものだ。肝に銘じたい。

和歌山:商業

消費税増税前の駆け込み発注がほとんどありませんでした(事務用品等)。お客様の発注姿勢が変化しているのかも。在庫を嫌うようになったのでしょうか。

(『JAGAT info』 2019年12月号,印刷経営ウォッチング,p56-57より抜粋して要約)