世の中コントロールできないものを制御しようとすると不幸が始まる。自分の体重?や習慣、行動さえ上手くコントロールできないのに他のことが制御できるわけがない。思い出すのは、イチローの現役時「他者の成績は自分で制御できない。だから意識いない。」と発した言葉だ。自分がコントロールできるものとできないものを区別し、できないものは考えずコントロールできるものに注力するという姿勢である。
営業活動でいえば、顧客に売り込みに行く際、買ってもらえなかったらどうしよう、と不安になる。しかし、それはコントロールできないことだ。コントロールできるのは、効果的なプレゼン資料や顧客の質問を想定した解説を準備し、時間に遅れないことだ。それ以外のことはコントロールできないので悩んでもしかたない。 今回の新型コロナウイルスもそうだが、世の中でコントロールできることは意外に少ない。いつの間にか何でもコントロールできると思ってしまっていたのかもしれない。この騒動は、この当たり前のことを再認識し、生き方を再考する機会かもしれない。 要するに、人生の大半がコントロールできないもので動いている。よってモノや人に執着してはいけない、 ということだ。いかに大事にしていても永遠はありえない。まして、相手があるモノはコントロールできない。だからこそ、今この瞬間を大切にすることが重要とされるのだろう。
子どもは自分の思いどおりになるという前提で生きている。そうならなければ間違っている、という認識だ。また、本来独立している好き嫌いを良し悪しにすり替えてしまうという。好き嫌いに過ぎないことを勝手に良し悪しの問題に変換する。だから妙な批判をしたり意見を言いたくなったりする。私も身に覚えがある。 また、元来人間は他者と比べることによって自分の行動を決める傾向があるというが、他者に関心を持ちすぎる。自分のなかに何らかの不満や不足感があり、その埋め合わせのため他者に目が向く。たとえば、自分の幸せやお金なども他者と比較したがる。他者と比べてどうか?「いいね」の数が多いか?などなど。 さらに、人間は幸せを求める生き物であり、その思いが強くなるほど他者と比べるようになる。個人の目標、やりたいことへの基準があれば満足して幸福感が得られるが、基準がなければ他者と比較することが多くなる。幸せかどうかが分からないので比較するしかなくなる。場面は異なるが、人事の絶対評価と相対評価のようなものかもしれない。絶対評価は基準を設けるのが難しいが、相対評価は比較なので決めやすい。 しかし、他者との比較はデメリットも多い。比較することで人生の満足度が下がり、落ち込みやすくなる。さらに、他者と比較してばかりの人は嫉妬深く、非生産的になり、意味のない人間感情に悩まされる。
そもそも自分と他者は生まれも育ちも違い、考え方も違う。たまたま同じ組織にいたからといって、比較するのは意味のないことだ。人はそれぞれ自分の生きてきた中で育まれた価値基準がある。人は人、自分は自分。ほとんどの場合、比較には意味がないという。よって、自分と違う考えの人がいても大きく受け止めたい。
(西部支社長 大沢昭博)
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