コロナ禍で取り組まれたテレワークの実態はどのようなものか。実施企業は8割超だが、従業員の参加率は2割強にとどまった。製造業のテレワークは難しくも不可避な潮流として捉え、顧客のテレワークに対応する必要もある。課題と成功要因などをレポートにまとめた。
印刷会社のテレワーク、実施率・評価・ツール・見通し
調査概要
公益社団法人日本印刷技術協会(略称:JAGAT)は、2020年4月21日から5月19日にかけて全国のJAGAT会員印刷会社を対象に、「印刷会社のテレワーク取り組み実態調査2020」を実施、82社から回答を得た。調査は(1)テレワークの実施状況、(2)テレワークの評価、(3)テレワークツールの利用度、(4)コロナ終息後も続けるか、を捉えるべく以下14設問から構成、82社から回答を得た。
調査項目
1.テレワークの実施率(企業ベース・従業員ベース)
2.テレワークに取り組んでいない理由
3.テレワークを始めた時期
4.テレワークの満足度
5.テレワークのメリット
6.導入・実施において難しいと感じたこと
7.生産のテレワークについての自由意見
8.テレワークのツール利用状況
9.オンライン会議のツール利用状況
10.ビジネスチャットのツール利用状況
11.リモートアクセスのツール利用状況
12.テレワーク運用のカギは何か
13.コロナ後もテレワークを続けるか
14.テレワーク全般についての自由意見
テレワークの実施率
印刷会社のテレワーク実施率は企業数ベースで80.5%と全体の8割を超えた。一方、従業員数ベースの実施率は22.3%にとどまった。部門別の実施率は営業部72.5%、製造部(生産)13.6%と、部門ごとに相当な差のあることが明らかになった。企業数ベースの実施率ではなく、従業員数ベースで論じることがより現場に即していることが明らかになった。テレワークツールの導入率は、オンライン会議70.5%、リモートアクセス59.7%などであった。
満足と不満足を分けたもの
テレワークの開始時期は2020年3月以降が81.3%を占め、今回のコロナ禍を機に慌ただしく実施された様子が浮かび上がった。それにも関わらず、テレワークに満足と回答した企業の割合は24.6%と、不満足の20.0%をやや上回る。満足グループと不満足グループの2群に分けて比較すると、従業員視点に立って事前準備を重視、オンライン会議システムなどのコミュニケーションツールを駆使できたかどうかが成否を分けた可能性が見えてきた。
詳細は会員誌『JAGAT info』6月号に掲載
速報を2度にわたって回答企業へフィードバックしたほか、詳細は2020年6月15日発行予定の会員誌『JAGAT info』2020年6月号(通巻586号)で19ページ(関連5ページ、計24ページ)にわたり掲載した。なお、『JAGAT info』は会員限定誌だが、要望多数につき、公益的観点から5月号に続き、6月号を6月15日から一般発売している。
6月号のテレワーク関係レポート
■特集:印刷会社はテレワーク時代にどう向き合うか(計19ページ)
・印刷会社もテレワークに備えよう(p.10-11,郡司秀明)
・テレワークの取り組み実態と成功の条件(p.12-19,藤井建人)
・テレワークに対する印刷会社の意見(p.20-23)
・業務のデジタル化とテレワーク(p.24-25,中狭亜矢)
・制作/デザイン部門の働き方は今後どう変わるか(p.26-27,石島暁子)
・テレワークの実現に向けた新しい業務スタイルの確立(p.28,花房賢)
■関連(計5ページ)
・ウェブ会議システム(p.34,郡司秀明)
・テレワークで利用されるリモートアクセスとVPN(p.40-41,中狭亜矢)
・ウェブを活用したセミナー・ウェビナーへの期待(p.54-55,影山史枝)
関連レポート
・『JAGAT info』2020年5月号(コロナショック特集号)
・『JAGAT info』2020年6月号(テレワーク特集号)