印刷技術を核に業態を広げる34社をリストアップ

掲載日:2020年7月21日

現在編集中の『印刷白書2020』の上場企業分析では、社名もしくは特色などに「印刷」とある34社を対象としている。印刷通販2社やデジタル専業など、印刷会社の業態変化を反映したリストになっている。(数字で読み解く印刷産業2020その7)

新規上場1社、 市場変更2社、上場廃止1社

印刷白書では2011年版から上場印刷企業の分析を行い、事業展開の特色と売上高構成比、個別業績による規模・収益性・生産性・安全性・成長性、連結業績による設備投資総額・研究開発費、キャッシュフローバランスなどを比較してきました。また、「印刷産業の経営比率と損益構成」のデータとして個別業績を利用しています。

2020年版に掲載する上場印刷企業は34社で、社数は前年リストと同じですが、新規上場が1社、市場変更が2社、上場廃止が1社となりました。

34社のうち東証1部上場企業は、1949年5月上場の凸版印刷、大日本印刷の2社から、2019年8月にマザーズから市場変更したラクスルまで14社です。前回リストに載っていた図書印刷は凸版印刷の完全子会社化により2019年7月30日付で上場廃止となりました。

東証2部上場企業は、1961年10月上場のアサガミから、2019年7月にJASDAQから市場変更したクレステックまでの9社で、そのうち竹田印刷は名証2部にも上場しています。また、福島印刷が名証2部に上場しています。

JASDAQスタンダードには、1988年8月上場の光ビジネスフォームから2018年10月上場のプリントネットまでの9社です。また、マザーズにはビーアンドピーが2019年7月に上場しました。

全産業の上場企業数を見ると、2020年7月15日現在の東証一部上場企業数は2171社(前年は2151社)で、東証二部やマザーズ、JASDAQ銘柄など、他の上場銘柄なども合わせると3717社(同3676社)となります。全産業の企業数は385万6457企業(「平成28年経済センサス-活動調査」)なので、上場企業の割合は0.096%に過ぎません。一方、印刷産業は2万6065企業(活動調査)に対して、上場企業は34社なので0.13%となります。

印刷通販2社とデジタル印刷専業が加わった上場印刷企業リスト

印刷白書の上場印刷企業は、2011年版に30社でスタートしましたが、2015年7月のクレステック、2016年3月の中本パックスの上場や、2017年5月の三浦印刷の上場廃止などによって変化してきました。

また、2005年創業のプリントネットと2009年創業のラクスルという印刷通販2社が上場印刷企業のリストに加わったことも大きな変化といえます。さらに、業務用インクジェットプリンターを使ったデジタル印刷に特化したビーアンドピーが今回加わりました。

印刷白書の関連資料「印刷産業の経営比率と損益構成」では、財務諸表(個別業績)から収益性、生産性、安全性等に関する財務指標を作成しています。今回は、個別業績に印刷事業が含まれない4社(アサガミ、ウイルコホールディングス、日本創発グループ、TAKARA & COMPANY )を除く30社の個別業績を利用する予定です(宝印刷は2019年12月2日付で持株会社体制へと移行し、商号を「株式会社TAKARA & COMPANY」に変更しています)。

『印刷白書2020』は10月下旬発行を予定しています。限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)