印刷物を制作するときはエンドユーザーに伝えたいポイントをしっかりおさえてデザインすることが重要だ。
最低限考えるべき要素
デザインするときにすぐにアイデアが浮かぶ時もあれば、なかなか浮かばない時もあるが、どんなことを考えたらいいだろうか。デザインする方法はたくさんあるかと思われるが、基本的に印刷物の対象となる人、どんなことを訴えるかというコンセプト、そのデザインがどういう雰囲気をだすトーン&マナーという3つの要素は最低限考えるだろう。
デザインに説得力を持たせる
まず対象をはっきりさせていれば、進める方向性のイメージが湧きやすくなる。例えば20代の女性を対象としたパンフレットを制作する場合、フォントは細いもので色味は明るいオレンジなどカラフルな方がいいとか、高齢者の場合は、大きめの文字を使用して色味は地味なほうがいい、というように考える方向性が決まってくる。
対象が決まったらコンセプトを考える。コンセプトは「デザインの基本的な骨格」であり、
制作者がその商品に込めた意図・目的などを表している。これは印刷物を制作するにあたり、デザイナーはもちろん、ディレクター、コピーライター、営業などと協力しチームが一緒の目的地を目指していくために必要なことだ。
コンセプトはデザインの核となるものなので、デザインに一貫性を持たせてクライアントへ理論的な説明ができ、説得力を持たせられる。別のいいかたをすると、コンセプトを持たずにデザインをすれば、違ったメッセージを伝えてしまい、本当に伝えたいメッセージが伝わらなくなる可能性もある。「エンドユーザーに正しいメッセージを伝える」ためにもコンセプトをしっかり決めておくことは重要なことだ。
トーン&マナーはデザイン全体の雰囲気やデザインから受ける印象のことをいう。「このメーカーらしくない」と感じることがあるが、こうしたことを「トーン&マナーがずれている」と言うことがある。例えば世の中にはいろんなポスターがあるが、そこに印刷されている商品はその雰囲気が伝わるように印刷されている。コーヒーは上品さや重厚感、缶ビールは爽快感や美味さなどが想起できるようにデザインされている。
トーン&マナーを決めたほうがいい理由は、お客様からより早く覚えてもらったり、競合との差別化を図ることができる。また、デザイナーが複数いる場合などトーン&マナーのルールを決めておくとイメージのブラさないでスムーズにデザインできるなどが挙げられる。
対象を定めることによりイメージができ、コンセプトをもつことによりそのイメージがどうあるべきかが決まる。そして、トーン&マナーを決めることにより具体的なイメージを作り、こうしたポイントをおさえておけばイメージをさらに発展させる可能性もでてくる。
デザインで大切なことは一貫性を持たせて軸をぶらさず、説得力を持たせることだ。そのためにもデザインの基本をしっかりふまえてポイントとなる事項を考えることが重要だ。
(CS部 伊藤禎昭)
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