2019年の印刷産業出荷額(4人以上の事業所)は4兆8271億円(速報値)

掲載日:2021年3月31日

「2020年工業統計速報」が3月26日に公表された。4人以上の印刷産業出荷額は前年並みを確保し、付加価値額は微増となった。(数字で読み解く印刷産業2021その3)

印刷産業出荷額は前年の大幅減から、前年並みで下げ止まりとなる

「2020年工業統計速報」(2020年6月1日現在で実施)によれば、従業者4人以上の事業所数は18万1299事業所(前年比2.1%減)、従業者数は769万7536人(同1.0%減)となりました。2019年の製造品出荷額等は322兆1260億円(同2.9%減)で、全24業種のうち減少は16業種(前年は4業種)となりました。

印刷産業に関して見ると、事業所数は9636事業所(同2.5%減)、従業者数は25万579人(同1.2%減)で、製造業全体よりも減少幅は大きくなりましたが、製造品出荷額等は4兆8271億円で前年並み、付加価値額は2兆1219億円(同0.1%増)となりました。

工業統計調査の結果は、「速報」→「概要版」→「確報」の順で公表され、速報では数値は小さく出る傾向があります。印刷産業出荷額は2018年の速報値では前年比5.3%減でしたが、確報値では4.9%減となり、220億円ほど増加しました。今回の速報値では前年差が10億円ですから、確報値ではプラスとなる可能性もあります。

印刷産業の出荷額・事業所数は東京が1位

製造品出荷額等が最も大きい産業は、輸送用機械器具製造業(構成比21.1%)で、食料品製造業(同9.2%)、化学工業(同9.1%)の順となっています。

製造品出荷額等が最も大きい都道府県は、愛知(同14.9%)で、神奈川(同5.5%)、静岡(同5.3%)、大阪(同5.2%)、兵庫(同5.0%)と続きます。都道府県別第1位産業をみると、輸送用機械器具製造業が14都県、食料品製造業が10道県、化学工業が7府県、電子部品・デバイス・電子回路製造業が4県です。

印刷産業では、製造品出荷額等は東京(構成比15.3%)が最も大きく、埼玉(同14.5%)、大阪(同9.4%)、愛知(同6.4%)の順、事業所数も東京(同17.6%)が最も多く、大阪(同11.3%)、埼玉(同8.4%)、愛知(同6.5%)の順です。

東京の主要産業を見ると、輸送用機械器具製造業、電気機械器具製造業に次いで、印刷産業は第3位産業に入っていて、東京の地場産業といえます。

『印刷白書2020』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝え切れないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)