[DTP]1-8 PDF

  • PDFはPortable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)の略称で、電子上の文書に関するファイルフォーマットである。特定の環境に左右されず、表現の再現性を確保しつつデジタル化された文書データとして広く普及している。

  • PDFはフォントの埋め込み(エンベッド)を行うことができる。

  • PDFには、電子署名機能、コメント記入などが行える注釈(annotation)機能、パスワードと暗号化によるセキュリティー機能などが装備されている。

  • 1990年代初め頃にアドビが開発・提唱したPDF仕様は、1993年より無償公開されていた。その後、アドビはPDF仕様のほとんどに関する権利を放棄し、2008年、国際標準化機構によってISO 32000-1として標準化された。 

  • 2017年にISO 32000-2(PDF 2.0)が発行されている。

PDFの特徴

  • PDFは、アドビが開発し印刷業界の標準として普及していたページ記述言語、PostScriptを元に策定された。PostScriptのようなプログラミング言語としての機能はなく、データ記述言語となっている。

  • PostScriptとの大きな違いの1つにページ単位の独立性があり、必要なページをすばやく表示することができる。また、ページ単位の追加・削除・差し替えや面付けなども容易である。

  • 文書、グラフィック、添付ファイルを単一ファイルにまとめて圧縮する構造を持っている。

  • 異なる環境で表示するためのフォントの埋め込み、代替の仕組みを備えている。

  • 本文以外の文書情報として、しおり・リンク・注釈などを追加して付加することができる。

  • バージョン1.4以降では、「透明」の概念を保持することができる。

  • PDF/Aは、電子文書を長期保管用に作成、表示、および印刷するための仕様をISO規格として標準化したものである。またインタラクティブな交換に使用されるPDF/Eがある。

PDFと印刷

  • Adobe PDF Print Engine(APPE)は、PDFをページ記述言語とするRIP技術である。PostScriptでは対応不可となっていた「透明」にも対応している。

  • 面付けなどの作業をPDFデータで行うことにより、出力機器への負担が軽くなり、より高速な出力が可能になる。

  • PDF/X(ISO15930)は、国際標準化機構によって規定されたグラフィックデータ交換を目的としたPDFのサブセットである。PDF/Xによるデータ入稿の利点は、カラースペース、フォントや画像に関する規定が明確になり、出力トラブルの回避や信頼度が向上することである。

  • PDF/Xには、PDF/X-1a、PDF/X-3、PDF/X-4など複数のバージョンがある。各バージョンの規格内容を把握し、印刷用データ受け渡しの際にどのバージョンに準拠したデータであるのかを確認する必要がある。

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