適切な基準を設定し、適切に評価する 〜『JAGAT info』2021年5月号のご案内

掲載日:2021年5月13日

日常生活において、例えば朝焼けや夕焼けのときには周囲一面が黄色く、あるいは赤く染まって見えるし、日没後のブルーモーメントでは辺り一面が青や藍色に沈んで見える。では、そのときに見たリンゴの色と、日中の太陽光の下で見るリンゴの色は、果たして同じ「赤」であろうか。

もちろん、時間帯によってリンゴ自体の色が変化しているわけではない。あくまでも同じ赤のリンゴである。しかし屋外において、朝と昼、夕方それぞれの時間帯で見るリンゴの赤は、同じはずなのに異なって見えることが多い。なぜならば、同じ太陽光でも時間帯によって色温度が変化しているため、見え方が変わってくるからである。
それでは、屋内の蛍光灯ないしLEDの光源下ではどうだろうか。出版に携わった人であれば、印刷所の色見台ではきちんと色が出ていたのに、書店でその本を手にとってみると、「あれ、こんな色だったっけ?」という経験をされた方もおられるのではないだろうか。これも同様の理屈で、印刷物そのものはもちろん同一だが、どの照明の下で見ているかによって見え方が異なってくるからである。

一般に、印刷物にはシビアな品質管理が求められている。そのため、標準規格を設定してできるだけ数値化し、適切に評価する必要がある。それは、色を見る際に用いられる光源においても例外ではない。『JAGAT info』2021年5月号の特集では、技術的な観点から色評価用LEDについて検討を重ねている(詳細については、下記をご覧いただきたい)。
この考え方を敷衍すれば、業績の評価や人事考課にも応用できるだろう。適切な基準を設けて数値で表し、そして適正な評価を行うことで評価対象者へのフィードバックが可能となる。客観性を重視する自然科学的な思考様式は、案外といろいろなところに応用が利きそうである。

 

『JAGAT info』2021年5月号のご案内

◯特集 page2021開催報告
色評価用LEDガイドライン プレセミナー 〜日本印刷学会協力〜
 大日本印刷株式会社技術開発センター主席研究員/工学博士 杉山徹氏
 一般社団法人日本印刷学会標準化委員会 笹沼信篤氏
 公益社団法人日本印刷技術協会専務理事 郡司秀明

印刷工場の色見台などで使用されている色評価用の標準光源が、蛍光灯の製造中止に伴いLEDへと移行するのに際し、その品質基準について日本印刷学会でガイドラインの策定が進められてきた。page2021のオンラインカンファレンスでは、ガイドラインの公表に先立つプレセミナーとして2月10日にセッションを配信したが、今号ではその講演内容の要旨を収録する。
色評価用LEDに関する性能や特性などの考察や、導入にあたってのポイントや注意点などにも触れているので、LEDへの取り替えを検討されている方にとっては必見の内容である。

◯特別企画 page2021オンラインカンファレンス
デジタル時代のローカルマーケティング 〜withコロナ時代のクロスメディア〜
 株式会社ライドオンエクスプレスデジタルマーケティング部
                   グループマネージャー 正木伸繁氏

このコロナ禍では、人々の移動が難しくなったことから地域社会で過ごす時間が増えた。印刷会社の立場からすると、どのすれば効率的にターゲットにリーチできるかが課題となる。
今号では、宅配寿司「銀のさら」などを運営している(株)ライドオンエクスプレスの正木氏の講演要旨を掲載する。宅配ビジネスの現況分析や特徴、同社の具体的な販促施策、オンライン・オフラインそれぞれの長短や今後の中期戦略などが主な内容だが、業種・業態は異なれど、参考となる要素が多数凝縮されている講演録である。

(『JAGAT info』編集部)

 

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