JAGATでは近年、未来の印刷会社像として「“街の電通”であれ」と提唱している。すなわち、このコロナ禍で、マーケティングの対象領域がグローバルからローカルへとシフトし、地域密着型の商圏創出がより重要視されるようになってきた。では、そのときに印刷会社には何ができるのであろうか。
例えば非常にローカルな地元商店街の活性化を、国内を代表するような大手広告代理店が手掛けるという事態はなかなか考えにくい。だが、あらゆる産業と関わりを持つ地域の印刷会社であれば、広告代理店的な機能を果たすことができるのではなかろうか。それが“街の電通”の意味するところである。
そのためには何が必要であろうか。まずは印刷会社も「マーケティング」の視点を持つことであろう。マーケティングという言葉に身構えてしまうのであれば、販売促進の視点と言い換えてもよい。そして、それを理解して使いこなせる人材を育成していくことも重要になってくる。
また、マーケティングをきちんと行うということは、デジタルデータを有効に活用していくことと表裏の関係にある。さらに言えば、マーケティングを丁寧に行うことで、無駄な印刷物はなくなっていく。つまり、本当に必要とされる印刷物だけが、これから先は生き残っていくのである。この考え方は、SDGsの思想とも親和性が高い。
『JAGAT info』の最新号では、page2021で議論された上記の論点について、考えるためのヒントを多数収録している。afterコロナへの道程が少しずつ見えてきた今だからこそ、コロナ禍で変化した諸事象の意味を考え、来るべき未来への準備を着々と進めていきたい。
『JAGAT info』2021年6月号のご案内
◯特集 page2021開催報告
クロージングセッション
「コロナ後の印刷業界を占い『未来をどのようにリセットするか?』考える」
フュージョン株式会社 代表取締役会長 花井秀勝 氏
公益社団法人日本印刷技術協会 専務理事 郡司秀明
page2021では、2月8日から26日にかけて計9本のオンラインカンファレンスをライブ配信しましたが、その掉尾を飾るのが、これらの議論をまとめたクロージングセッションである。
6月号では、コロナ禍の前後における印刷業界に関連したトピックの動向分析および設備・人員・投資の面から印刷会社が進むべき道について論じた花井氏の講演要旨と、印刷におけるマーケティングをキーワードに郡司専務理事と議論を繰り広げたディスカッションパートを収録する。
◯特別企画 page2021オンラインカンファレンス
デジタル時代のローカルマーケティング 〜withコロナ時代のクロスメディア〜
株式会社ライドオンエクスプレス デジタルマーケティング部
グループマネージャー 正木伸繁氏
株式会社ヤプリ マーケティングスペシャリスト 島袋孝一氏
公益社団法人日本印刷技術協会 研究調査部長 主幹研究員 藤井建人
地域の再編が進むなか、印刷会社はデジタルと紙をどのように組み合わせ、どのようにビジネスチャンスを掴み、そして地域社会と関わっていけばよいのだろうか。スマホアプリを制作するスタートアップベンチャーであるヤプリ・島袋氏による「スマホアプリ活用によるDX 「ノーコード」は社会・マーケをどう変えるか?」の講演要旨と、宅配寿司「銀のさら」などを運営するライドオンエクスプレスの正木氏(講演要旨は前号掲載)を交えたディスカッションを掲載。印刷業界にも参考となる話が満載である。
(『JAGAT info』編集部)
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