Japan マーケティング Weekに出展した印刷関連企業の提案を中心に、Webとリアルをつなぐ販促手法のトレンドを探る。
RX Japan株式会社 (旧社名:リード エグジビション ジャパン)が主催するマーケティングの総合展「Japan マーケティング Week」が、2022年4月6日-8日に東京ビッグサイトで開催された。
「第5回 販促EXPO【春】」「第5回 Web・SNS活用EXPO【春】」「第5回 営業支援 EXPO【春】」「第5回 リアル広告EXPO【春】」「第1回 CX・顧客育成EXPO【春】」の5つの展示会で構成され、来場者数は3日間合計で20,116人だった。
コロナ禍以前より規模が縮小したものの、全国的にまん延防止等重点措置が終了したことを受けてか、会場は賑わいを見せ、活発な商談が行われていた。
特に、Web・SNS活用EXPO、営業支援 EXPOは、プレゼンテーションに人だかりができるなど活気にあふれ、この分野への関心の高さがうかがえた。
一方では、屋外広告、店舗の販促、ノベルティなどの提案もあり、コロナ禍で伸び悩んでいたリアルな場での販促が、動きつつある様子が感じられた。
Webとリアルを効果的につなぐ提案もさまざまな形でなされていた。
以下、印刷と紙に関わりの深い出展の一部を紹介する。
(株) あけぼの印刷社
茨城県水戸市に拠点を置き、販促物の企画・デザイン・製造・配送管理まで一貫で行っている。
本展では「販促ロスを減らそう」をテーマに、販促物管理ソリューション「らくらく販促オーダー」、販促パネルにクリアフォルダーを貼り、掲載内容の差し替えを容易にした「パネル+クリアフォルダー」などを紹介した。
(株) ウイル・コーポレーション
「アイデア飛び出す! おどろき印刷博」をキャッチフレーズに、インライン・フィニッシング・システムを駆使した独自製品サンプルを多数展示。ハサミとノリがいらない「魔法のペーパークラフト」、ポップアップ製品、バリアブルふせんなどが紹介された。
(株) ガリバー
「WEBに繋がる効果の上がるDM」をキャッチフレーズに、オリメール、サンプル in メールなど多彩なDM向け製品を配布。また、DMに印字したQRコードで顧客のアクセスを記録するサービス「One to One log」を紹介した。
(株) 写真化学
明治初年創業の老舗。現在はコミュニケーションをデザインする企業として、印刷のほかWeb・動画・ITシステムなど多角的な事業を展開している。本展では「販売促進・ブランディング活動をデザインする。」をテーマに、清酒・チョコレート・皮革製品と3種類の仮想ブランドを設定し、それぞれの展開例を示した。
東京リスマチック (株)
ノベルティ・パッケージなどを作成するサービスを紹介し、香り付きのアクリルキーホルダーやマスクシール、ラバー箔缶バチなど多彩なサンプルを配布。また、商品陳列什器、フロア什器のサンプルを展示。ブースの什器は強化段ボール Re-boad(リボード)を活用して自社で作成した。
(株) マツモト
北九州市に拠点を置き、卒業アルバム制作を軸にしながら、近年は販促物制作にも注力している。今回はインクジェット印刷の事例として、販促用の写真集カタログ、ホログラム加工を施した紙製のファイル、チケット、パンフレットなどを展示した。
松本印刷 (株)
大阪市に拠点を置き、「共に創り考える起業支援」を掲げて、顧客の課題に応えてWeb・SNS・印刷などのツールから最適な商品を提案している。本展では、パッケージやノベルティなどの製品サンプル、自社でデザインした印刷媒体のデザインをWebサイトのランディングページに展開するサービスなどを紹介。また会社案内・作例集と共に、自社の事業と働く人を紹介するフリーペーパー「松本読本」を配布した。
森紙器 (株)
段ボール加工の可能性を追求し続けている。本展では Re-boadに印刷・加工を施した什器でブースを構成し、AED収納BOX、演台、デジタルサイネージのスタンド「PiO」ほか、多彩な施工例を紹介した。
(株) フジプラス
「Webサービスにもっとリアルな感動を」をテーマに出展。ECサイトの顧客の購入商品に合わせたパーソナルDM、趣味・嗜好に沿ったスペシャルパッケージなど、Webサービスと印刷物をつなぐサービスを提案した。
(株) プリントボーイ
多品種小ロット印刷物の企画・制作の実績をベースに、現在は動画制作・配信サービスに注力し、専用スタジオも運営している。本展では、セミナー・イベント運営業務のオンライン化支援をアピールした。
コロナ禍を機に、Webを通じたコミュニケーションが進化し、リアルなプロモーションにも影響を与えている。顧客の課題やニーズに応じて、最適な手法を組み合わせる企画・提案能力が問われてくるだろう。
今後の印刷会社の提案に注目していきたい。
(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)