お客様が求めているのは「きれいなサイトやかっこいい印刷物」ではなく、あらゆるデータをもとに事業を分析し、改善策を繰り返した結果、もたらされる成果なのだ。
印刷物であれ、Webであれ、作って納品するだけでは、熾烈な価格競争から逃れることはできない。お客様が求めているのは「その印刷物、そのWebサイトを使ってもたらされる成果」なのだ。
Webをはじめとするデジタルメディアは効果測定が容易とされているが、アクセスログやコンバージョン率といったデータを取っただけでは、なんら改善には結びつかない。お客様のビジネスに役立つような課題を見つけ、勝てる仮説を立て、実行し、それを継続的に行うことが重要なのだ。
page2015セッション「Web解析による課題発見と改善手法」からラウンドナップ 代表取締役 中山 陽平氏とパワーメディア 取締役 大岡 歩夢氏の講演を紹介する。
「2014年(平成26年)日本の広告費」(電通)によると、2014年(1~12月)の日本の総広告費は6兆1522億円、前年比102.9%と、消費税率引き上げの影響はあったものの、通期では3年連続で前年実績を上回った。なかでもインターネット広告費(媒体費+広告制作費)は前年比112.1%の1兆519億円に達し、初めて1兆円を超え、今後もこの勢いは続いていくだろう。
誰もがスマホ、モバイル端末を持ついま、Webマーケティングの視点は欠かせない。
そもそもWeb解析とアクセス解析を混同していないだろうか?
アクセス解析とは、サイトのアクセス情報を解析すること、そこから成果に結びつけることである。
それに対してWeb解析とは、「あらゆるデータを駆使して事業の成果につなげるためにデータからユーザーの声を聞き、組織で数字を共通言語として改善する(一般社団法人ウェブ解析士協会)」ことだ。
つまり、店舗の売り上げ、アンケートデータ、ソーシャルのテキストマイニングなど、Webとは関わらないデータも取り扱う。あらゆるデータを分析し、DMや印刷物、他媒体の活用も含め、ビジネス全体の改善を行うのだ。
Web解析で重要なことは「それを、何のためにやっているのか?」という視点を常に持つことである。
・成果を定義し、成功と失敗による結果を予測する
・変化が現れる部分を定量的に計測する
・その結果に基づいて、次のアクションを起こす
Webの強みは「結果がデータとして手に入る、計測できる」ことである。
例えば顧客行動も可視化できる。買い手は一般的に「発見→吟味→比較→熟読→接触→購買」という行動の流れをとる。
それぞれの段階を見える化し、どのステップが弱いのか分析する。分析に基づいて、優先度をつけて改善する、このPDCAを高速回転することが有効だ。
顧客接点は移り変わる。それぞれの段階に応じてメディアを使い分けたい。Webと印刷は相補関係だと考えている。Webでクリエイティブテストをして、紙媒体にフィードバックしたり、その逆もあるだろう。
データから何を読み取り、仮説を立て、どのようにアクションに落とし込むか? お客様が求めているのは「きれいなサイトやかっこいい印刷物」ではなく、あらゆるデータをもとに事業を分析し、改善策を繰り返した結果、もたらされる成果なのだ。
(JAGAT info2015年5月号より CS部 小須田紀子)
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