今年2月に開催したpage2022や会員誌『JAGAT info』などを通じてJAGATが目下提唱しているキーワードが、「創注」あるいは「造注」である。漢字のとおり、注文を(自ら)創り出すことであり、それがこれからの印刷ビジネスに求められるものであるとする考え方だ。
「創注」の一環として、新規事業を模索している印刷会社は多い。だが、BtoBが主体の印刷ビジネスにおいて新たな事業領域を見いだすことは、なかなか難しいように思われる。そこで、それに対する一つのヒントとなるのが、「見方を変えてみる」であろう。今まで「それが当然」「当たり前のことだ」と思い込んでいたものに対して視座を一歩ずらしてみると、新たな着想が得られるかもしれない。
本誌6月号では、新規事業に関する議論や取り組みに紙幅を割いている。印刷会社が新たな事業を手掛ける際に担当者が抱える悩みは、共通している要素が意外と多いようだ。それらを乗り越え、新たなフィールドに出るためにはいつ、何が、どのくらい必要なのか。それらを探りつつ読み進めていただけると幸いである。
ところで本誌『JAGAT info』は、誌名や判型などを変更しつつ通巻610号まで、長らく1色ページ主体で刊行してきた。だが、それもこの6月号で最後となる。7月号からはオールカラー/デジタル印刷化に大きく舵を切る。
表紙をめくると次に現れるのがモノクロページなのは、「当然」「当たり前」ではない。モノクロのページにすることを選択した結果なのである。自ら進んで変革していくこと、それがこれからのビジネスシーンにおいて求められることの要諦なのではないか。
『JAGAT info』2022年6月号のご案内
◯特集 page2022開催報告
ビジネスのタネの見つけ方、つくり方、育て方
~再現性のある仕組みづくりを考える~
新規事業を模索している印刷会社は多数存在するが、その手法が分からない、あるいは計画が頓挫している会社も少なくない。社内で危機意識が共有されず自分事になってくれない、何か飛び抜けた強みがあるわけでもない。そしてプロジェクトメンバーの人選や運営方式も分からないうえに、新規事業の担当者が社内で孤立してしまいシナジー効果が生まれないといった「四つの壁」が立ちはだかることも多いようである。しかし成功例を見ていくと、取り組み方やプロセスに共通点が多いことに気付く。
そこで特集では、2022年2月10日に配信したpage2022オンラインカンファレンス【C5】の議論要旨を収録する。講演とディスカッションを通じて、新規事業に関する一種の「型」を探る試みであり、新たな事業に挑戦する際の参考にしていただきたい。
◯特別企画 page2022開催報告
新事業開発という新たな「一歩」を踏み出すときのヒント
新たな収益モデルとして新規事業を模索している企業は多いが、既存事業との業務バランスの確保や社内の理解がなかなか得られないなどの課題も多数存在している。それでは、これらをどのように乗り越えていけばよいのであろうか。
特別企画では、page2022オンラインセミナー【S1】(2022年2月8日配信)の中から河島弘司氏の講演要旨を掲載する。河島氏は印刷会社の新規事業開発を支援する立場で、あらかじめ考えておくべきことや少し異なる視点での考え方などをご講演いただいた。そこから新たなヒントを探っていきたい。
(『JAGAT info』編集部)
■『JAGAT info』最新号の目次はこちらから → https://www.jagat.or.jp/magazine
■印刷総合研究会の詳細はこちらから → https://www.jagat.or.jp/pri