印刷物は11年連続の輸入超過、アジアがシェア7割

掲載日:2022年8月19日

貿易統計で印刷物を見ると、2021年は輸出が拡大、輸入が減少したが、11年連続の輸入超過となった。輸出先は中国が不動の1位で、輸入先はシンガポールが9年連続トップである。(数字で読み解く印刷産業2022その5)

輸出は中国が不動の1位、輸入はシンガポールが9年連続1位

財務省「貿易統計」によれば、2021年の印刷物の輸出額は286億円(前年比24.1%増)で4年ぶりの増加、輸入額は684億円(同10.9%減)で2年連続の減少となりました。

アジアが最大の取引先で、2021年の輸出額は197億36百万円(構成比68.9%)、輸入額は502億19百万円(同73.4%)で、輸出入ともに7割を占めます。北米は輸出38億84百万円(同13.6%)、輸入81億42百万円(同11.9%)、西欧が輸出28億59百万円(同10.0%)、輸入75億80百万円(同11.1%)となりました。

輸出先のトップ10は、中国、アメリカ合衆国、香港、大韓民国、ベトナム、メキシコ、タイ、台湾、ドイツ、フィリピンです。中国は不動の1位ですが10年間で半減し、シェアは2015年以来3割を切っています。台湾は4年連続の減少ですが、その他の9カ国は増加し、特に韓国、香港、アメリカ、中国が増加しました。

輸入先のトップ10は、シンガポール、中国、アメリカ、韓国、ドイツ、プエルトリコ(米)、フランス、マレーシア、イタリア、アイルランドです。9年連続1位のシンガポールからの輸入額は前年より157億円減少しましたが、輸入総額の4割を占めています。8カ国でプラスで、特に韓国が2.2倍、前年11位のフランスと12位のイタリアは約2倍に増加してランクインしました。

下図は1992~2021年の印刷物の輸出入額とその差引額の推移です。1992~2004年の13年間は輸入超過でしたが、2005~2010年の6年間は輸出超過となり、2011年以降の11年間は逆に輸入超過となっています。2011年は輸出は増加、輸入は減少したことから、差引額は398億円まで縮小しました。

『印刷白書2021』では、印刷物の輸出入相手国上位10カ国の推移表や、アジア・西欧・北米などの地域別の構成比の推移なども、わかりやすいグラフで紹介しています。
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(JAGAT CS部 吉村マチ子)