新規学卒者の「採用選考に関する倫理憲章」により、2016年大卒予定者の採用活動開始時期がさらに後ろ倒しになる。採用選考開始8月からのスタートになり、特に中小企業においては採用活動が難しくなる可能性がある。
■後ろ倒しによる中小企業の影響を考える
(1)インターシップ、就職講座等の増加
日本経済団体連合会が発表した「採用に関する倫理憲章」に法的拘束力はないが、加盟している大手企業を中心に倫理憲章を遵守し、8月から公式に選考活動を実施する企業は多いと推測する。そうすると、インターンシップの実施、就職関連セミナー等、公式的な選考以外の施策が増えることが予想され、優秀な学生の囲い込みが進むのではないだろうか。結果、水面下での学生争奪戦が激化することが考えられる。
(2)内定辞退率の増加
経団連非加盟企業、中小企業を中心に8月以前から選考活動に踏み切る企業もあると予測され、大手企業より早く優秀な学生を囲い込む動きも考えられる。しかし、8月以降に開始する大手企業が内々定を順次出してくるので、中小企業の内定辞退率は例年より高くなる可能性がある。と、執筆しているときに、マイナビニュースにて以下の調査結果が発表された。
「内々定を得ている学生に、その企業への入社意欲を確認すると、「強く入社を希望する」は25.0%にとどまった。40.2%は「入社は希望するが就職活動は続ける」、25.0%は「他企業で内々定が得られなければ入社を検討」、9.8%は「入社する気はない」と答えており、全体の約8割が就職活動の継続を考えていることがわかった。」
特に本年度は、内々定をだした学生が辞退する可能性が高まることが懸念される。
■内定者へのフォローアップがより必要になる
中小企業の新卒採用活動は大企業とは違い、内定辞退、早期退職を考慮して余剰に採用することは困難なため、限られた採用枠のなかで「内定辞退防止」「入社後の早期退職防止」について、より一層対策を講じる必要があり、内定者フォローが重要になってきている。
■内定者が不安に感じていること
大別すると下記のような不安を抱えている内定者が多い。企業はこれらの不安要素を解消することで、「内定辞退の防止」および「入社後の早期退職防止」リスクを軽減することが必要になる。
1.学生から社会人への環境変化による不安
2.内定先企業および業務内容の理解不足による将来性への不安
3.同期、先輩社員との人間関係の不安
多くの企業では、「内定者同士の懇親会」「先輩社員懇親会」「社長懇親会」等のコミュニケーション機会を作り、人間関係の不安解消に努めることで内定辞退に抑止をかけている。しかし、「学生から社会人への環境変化による不安」「内定先企業および業務内容の理解不足による将来性への不安」を解消するには少し弱い。そこで懇親会+αの内定者フォロー対策として注目されているのが、「内定者への教育機会提供」である。
■内定者教育の必要性
マイナビの「2015年卒の内定者フォロー」調査によると、内定者からのニーズは高いが、企業の実施率が低いフォローに「勉強会・グループワーク・研修」「通信教育・e-learning」がある。つまり、内定者教育を実施することで、内定者のニーズを充足するとともに、他社には無いフォローを展開でき、「内定先企業および業務内容の理解不足による将来性への不安」を解消する一助にもなる。
内定者教育の方法はさまざまであるが、大別すると以下を実施している企業が多い。
【集合研修】:社内講師、外部講師による、企業理念の浸透、印刷業界の概況、仕事の流れ、マナー研修、 グループワークによるチームワーク力UP等の研修を実施する。
【通信教育】:印刷業界の概要、一般的な仕事の流れ、印刷技術の基本の講座をテキストと講師添削により体系的に学習する。
そのほか資【資格取得の推進】【工場見学】等がある。
内定者フォロー施策の一環として内定者教育を取り入れていくのは、これからさらに重要になると考えられる。
JAGATでは、通信教育、講師派遣研修等で内定者教育を提供しており、数多くの採用実績がある通信教育については実際に導入された人事担当者の声を掲載しているので、興味がある方はご覧いただきたい。
(JAGAT CS部 塚本直樹)
<関連情報>
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