スクリーン印刷とプリンテッド・エレクトロニクス

掲載日:2015年6月22日

印刷技術は成熟段階に到達したと言われることもあるが、それはごく狭い範囲のことに過ぎない。例えば、スクリーン印刷とその周辺技術は進歩の度合いが大きく、プリンテッド・エレクトロニクスなど世界的に注目されている。

スクリーン印刷は孔版印刷の1種で、印刷に不要な個所を乳剤で固めたスクリーンにインクをのせ、スキージとよばれるヘラ状の板で擦ることでインクを転写する印刷方式である。かつては、スクリーンの素材として絹を使用していたため、シルクスクリーン印刷とも言われていた。
現代ではポリエステルなどの合成繊維やステンレスなどの金属繊維による「スクリーンメッシュ」を用いた版(スクリーンマスク)を使用する印刷方法が主流となっている。

スクリーン印刷は印刷対象の自由度が高く、凹凸のあるような電子回路の基材などにも精緻な配線などを印刷することができる。また、使用するインキはペースト状であればよいため、インキ成分を比較的自由に設計・選択することができる。

そのため、プリント基板はもとより、最近では、スマートフォンのタッチパネルや太陽電池の電極形成などにも、スクリーン印刷の技術が使われている。

タッチパネルや太陽電池などの市場は、世界的に大きく需要が拡大しており、技術的にも急速に進展している分野である。電子部品メーカー間の競争も厳しく、スクリーンマスクの製造が製品開発の重要な要素となっている。ブリンテッドエレクトロニクスの1分野としても注目されている。

紙メディアへのオフセット印刷は市場が停滞し、技術的にも成熟段階に到達したと言われている。しかし、改めて印刷テクノロジー全体を見渡してみると、技術の進展は留まることもなく、ニーズも大きいことに気付かされる。

(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)

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