印刷技術の定番図書『オフセット印刷技術 作業手順と知識』

掲載日:2023年2月24日

JAGATでは『印刷白書』や『JAGAT印刷産業経営動向調査』を毎年発刊するとともに、『オフセット印刷技術 作業手順と知識』などの定番図書のブラッシュアップを随時行っている。

昨年創立55周年を迎えたJAGATには、息の長い出版物がある。なかでも『オフセット印刷技術 作業手順と知識』の初版発行は2005年、現在の増補改訂版となったのが2009年で、本書の前身である『平版印刷技術』までさかのぼると、1977年と46年も前のことになる。
Japan Color標準印刷認証の推奨図書にもなっている本書は、専門学校の教科書やJAGAT通信教育のテキストにもなっていて、印刷技術の定番図書として継続して発刊していく必要性を感じている。もちろん、増刷にあたっては前回の版からの技術変化や、各種認定基準の改定などを反映する必要がある。

JAGAT書籍の用字用語は刊行時期によって違っている。例えば、『印刷白書』と『オフセット印刷技術 作業手順と知識』では、コンピューターやプリンターなどの、語尾の音引きの有無が違う。
「JIS Z 8301:2011規格票の様式及び作成方法」には、「外来語表記に語尾の長音符号を省く場合の原則」として、以下のようにある。

a)その言葉が3音以上の場合には,語尾に長音符号を付けない。例:エレベータ(elevator)

b)その言葉が2音以下の場合には,語尾に長音符号を付ける。 例:カー(car),カバー(cover)

この原則は1951年にJIS Z 8301が制定されたときからのもので、横書きの理系書籍やパソコン雑誌などでは「,。」で音引きなしのカタカナ語が多用されることとなった。

しかし、最新版の「JIS Z 8301:2019」では、「外来語の表記は,主として“外来語の表記(平成3.6.28 内閣告示第2号)”による」となっている。

「内閣告示第2号」では以下のような原則が示されている。

英語の語末の‐er,‐or,‐arなどに当たるものは,原則としてア列の長音とし長音符号「ー」を用いて書き表す。ただし,慣用に応じて「ー」を省くことができる。

    〔例〕 エレベーター ギター コンピューター マフラー

        エレベータ コンピュータ スリッパ

JAGATが『印刷白書』で採用している外来語表記は、テクニカルコミュニケーター協会「外来語(カタカナ)表記ガイドライン」である。同ガイドラインでは「利用者が見聞きするときにわかりやすい表記であること」を基準に、長音付けのコンピューター、プリンターを採用している。

ただし、『オフセット印刷技術 作業手順と知識』では、3音以上の音引きは付けない原則となっている。技術情報は増刷のたびに更新しているが、音引きなしの用語があまりにも多くて修正できないでいるのが現状である。メーカとあっても銘菓ではなく、メーカーのこととご理解いただきたい。

現在第6刷に向けて校正を進めているところで、定番図書としての使命を果たしていけるようにブラッシュアップしたいと思っている。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)