このところ本欄ではマーケティングの話題が多かったので、今回はIGAS2022の開催直後であり、またpage2023の開催直前であることから、「RGB印刷」を取り上げてみたい。
一口に「RGB印刷」といってもさまざまな捉え方があるが、印刷業界でよくいわれている「RGB印刷」とは、デジカメで撮影した大きくて鮮やかな広色域RGB画像データを小さなJapan Color 2011色域にCMYK変換(=圧縮)して印刷するのはナンセンスなので、RGBデータをそのまま入稿して、再現色域の大きい鮮やかな印刷を行うことを指している(デジタル印刷の再現色域はアナログよりも大きい)。
この言葉は、FFGSがJet Pressに関して、広色域再現が得意であることに目を付けて「RGB印刷」と言い出したのが始まりではないかと思う。非常に上手なキャッチ(表現)で、大ヒットである。Jet Pressは新たなターゲットを生み出したのだ。従来、蛍光ピンクなどで差別化することは同人誌では行われてきたのだが、写真やイラストでも広色域再現での差別化が注目され始めている。
もちろん、広色域再現を売り物にしているHP Indigoも負けじと「RGB印刷」を言い出した。HPは(印刷)製品のPRを大得意にしているだけに、印刷ワークフローが変わる可能性を思わせる節もある。また、ザイコンは表裏対向ローラーで印刷しているため、もともと表裏の見当性はすこぶる良いのが特長であるが、ここに目を付けて、RGB入稿した広色域RGB画像をユポ(合成紙)の両面に印刷し、さらに多色印刷が可能なので広再現色域にプラスして超ロングレンジの濃度域を実現している。一例として、花火の写真をバックライトで照らした写真品質には何とも言い難い表現力を持っている(写真1)。まさしく藝術の領域である。