5ゲン主義で取り組む印刷現場の標準化

掲載日:2023年4月18日

属人化の打破と標準化への取り組み

生産性向上に向けての印刷工場の改善活動は 待った無しの状況である。品質管理を徹底し、不良品を減らし、生産性を向上することで価値を上げなければならない。課題のひとつに属人化対策がある。印刷工程や作業は、職人の価値や気質で支えられた時代もありブラックボックス化している場合がある。属人化は、人材確保や品質管理のボトルネックのひとつにもなっている。解決するために必要な取り組みが標準化である。標準化改善に効果的な手法にSDCAサイクルが上げられる。SDCAサイクルとは、Standerdize(標準化)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを回すことで品質の向上を目的としたものだ。取り組みの第一歩は、表標準(おもてひょうじゅん)への取り組みである。目安とする作業者の手順を表に出し、見える化し、課題を検討するものだ。ベテラン社員の場合は抵抗感があることも考えられる。印刷現場の改善活動では、従来の勘や経験が課題となる現状がある。印刷品質の管理では、数値基準やしくみによる管理手法を学び、標準として取り込むことが望まれる。

3現主義 に原理・原則を加える

そこでベースのなる考え方が、3現主義に原理・原則を加えた5ゲン主義である。トヨタ生産方式では、工場の課題を現状打破するために3現主義をベースにあらゆる業種において、必ず現場に行き、現物を見て、現実を知るべきだといわれている。そして、改善にあたっては原理・原則を守りながら進めていくというものだ。表標準へ取り組みで作業の見える化が可能になれば、5ゲン主義の行動に結びつけるためのベースができたことになる。

印刷現場での5ゲン主義

印刷機とオペレーションのマネジメントでも5現主義が重要だ。2023年8月9日開講のJAGAT主催、新講座のオンライン印刷機長養成講座では、メイン講師に柴崎武士氏(タケミ株式会社 代表取締役)をはじめ専門スタッフによりカリキュラムが組まれている。5ゲン主義の行動を基本とした内容だ。

  • 教育目標は、印刷現場の「5ゲン主義」行動や判断を、現場・現物・現実・原理・原則という5つの視点で考え、実践する習慣をつけること。
  • 学ぶ知識は、印刷・印刷機・材料知識を5ゲン主義でのスタンダードを学ぶこと。

同社の印刷現場における指導やメンテナンスサービスは、原理、原則に対して妥協しない対応だとされる。印刷雑誌「メンテナンスの価値」(2017<Vol.100>8)によれば厳しい指導の中でも現場社員のモチベーション向上に繋がった事例が掲載されている。現場・現物・現実を原理や原則による納得感は、仕事への自信にも繋がるようだ。印刷現場の5ゲン主義による活動は、人材育成や確保にも効果が期待される。

(CS部 古谷芸文)

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