今号の「専務のつぶやき」で触れた「日本で誇れるのは品質だけか?」に関連する品質の話題として、シャープネスを2回に分けて述べてみたい。
カラーフィルムを原稿にしていた時代は、元写真に比べて印刷物の解像感が不足気味だったので、USM(アンシャープマスク)必須で画質を補っていた。カメラダイレクトという写真技法の時代からUSMは存在していたが、自由にUSMをコントロールできるようになったのはカラースキャナーが登場してからである。USMはその名のとおりアンシャープなボケ信号とシャープな主信号を引き算し、マッハ効果用のエッジ信号を作り出して主信号に加算、シャープさを高める機能だ。アナログスキャナーでは光学的に効果を作り出していたので、電気回路だけでエッジを作り出していたピーキングと比較して高品質であった。
それをPhotoshopで再現したのが、アンシャープマスク(カタカナ表記なのは、Photoshopコマンドとして区別するため)だ。本来、光学的なUSM効果が品質的に完全再現できればよかったのだが、当時のMacの能力を考えるとあれくらいがせいぜいだったと思う(まだ20世紀ですよ!)。アンシャープマスクはちょうど、光学的と電気的の中間くらいの品質に当たる感じである。また、他のシャープ関連フィルターがピーキングに当たる。
そして、新機能であるスマートシャープ(英語表記だとSmart Sharpen)が登場した(2014年頃?)。当時は皆さん勝手なことばかり言って、あまり普及はしなかったようだ。個人的には、CGからPhotoshopに持ってくるときに使用していたので「レンズぼかし」が高品質なのは分かっていた。この技法をアンシャープマスクのボケ信号作成に使用できるようにしたのがスマートシャープなのだが、品質的には光学的USMに迫る(むしろ抜いているのでは?)と認識している。