DM(ダイレクトメール)は、他の媒体に比べ開封率や反応率が高く、直接的なアプローチができることから高い費用対効果が期待される手段の一つである。消費者に響くDMを作成するためには、企画提案力やプロモーションの全体設計力などを備えた営業人材の育成が重要であり、さらに制作チームとの連帯体制の構築が必要となる。
■ 企画提案をする上で求められるスキル
DMを企画提案していくにあたり、営業担当者は顧客に目的や要望をヒアリングし、的確に対応することが求められる。コミュニケーション能力はもちろん、印刷技術に関する知識やマーケティング知識など様々なスキルが必要とされる。一方、社内では、顧客にとって良い品質のDMを提供するためのプロジェクトマネジメント能力が求められ、プロジェクト全体像の把握、必要なステップの計画・実行・リスク対応、さらに納期管理や品質管理の徹底などを講じる必要がある。
また、顧客のニーズに合ったDMを作成するために、顧客の業界情報や商品・サービスの特徴を理解し、DMの目的やターゲット層を明確にすることで消費者に対しての発信力や今後の施策の道しるべとなっていく。顧客の要望に合わせたクリエイティブなデザインの提供や印刷物の品質、納期の確保など多角的なサポートができることは、印刷会社の強みの一つといえる。また、トータルサポートをしていく上で大切なことは、市場トレンドや競合他社の動向を分析し、それに基づいてDMの配信のタイミングを選択したり、反応率を向上させるために顧客からのレスポンスをトラッキングし分析することである。顧客からの反応を迅速に把握し、DMの改善に取り組むことで次の施策へとつながっていく。分析と改善を繰り返すことでより効果的なDM制作が可能となる。
JAGATが昨年、印刷会社にDM事業に関するアンケートをとった結果、「DMを強化する上で今後最も力を入れたい工程」で約80%以上の回答企業が企画力を課題に感じていた。顧客の要望やニーズを把握するためにコミュニケーションをとり、ヒアリングした内容を軸に顧客が抱える問題を解決する企画力が求められる。DMで「誰に」「どんな目的で」「何を伝えたい」のか、そしてDMでどう表現したら伝わるかを考え、顧客に寄り添うことで印刷会社ならではのクリエイティブな提案ができるのではないだろうか。
JAGATでは、第2期となる「DM企画制作実践講座」を7月からスタートさせる。
本講座は、全6回の講義を通して、参加各社の実際のクライアントのDM案件に結び付けながら、DMビジネスの全体を実践的に習得できるコンサルティング形式の講座である。DMのトレンドや事例などを取り上げながら、マーケティングの考え方を取り入れたヒアリング方法や企画の立て方などを学び、最終的には施策の全体設計をした上でDMのラフ案をクライアントへ提案し、効果検証までを行う。また、1社2名の参加型なので、共通認識を持ちクライアント提案まで進めることができる。講師や受講者同士のやり取りの中で、問題点や発見、気づきが得られ、その都度、改善を行いながら構築していける講座となっている。
DM事業を印刷ビジネスの新たな柱として展開するために、この機会を活用していただきたい。
JAGAT CS部 加治 寛子
【関連講座】
・第2期「DM企画制作実践講座」7月開講!全6回
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page2023セミナーより
「DMの提案方法と創注までのプロセス公開 ~なぜ経験ゼロからできたのか?~」
十一房印刷工業株式会社 米原 澄子 様