「営業の質」と「品質管理」 〜『JAGAT info』6月号のご案内

掲載日:2023年6月15日

 小誌の前身である『プリンティング インフォーメーション』1993年6月号では「営業は攻め、受注は質を実現する企業」という特集を掲載しており、副題に「1992年度印刷産業経営力調査レポート財務分析」と添えている。当時の人材難に加えて不透明感を増す経営環境の下で、「量」から「質」の重視へと経営体質の変換が進みつつあることを調査結果から論じているのだが、その鍵を握るのは「営業マンの質」と「品質管理の強化」であると、同特集では指摘している。
 では、この「営業マンの質」とは具体的にどのようなことを指しているのであろうか。本文中の表現を引用したい。

得意先との人間関係を深めて情報を集め、それを次のセールス活動に活用し、印刷技術や素材について精通し、企画やデザイン力にも優れ、印刷見積りに関する知識にも卓越というスーパーマン

 他方、「品質管理の強化」についてはどうであろうか。こちらも本文から引用する。

一字の誤りでも、顧客に与える損害は数百万円に値することを社員に徹底し、そのチェックには最優秀の人材を当て、チェックマニュアルを作成。そのマニュアルにも改善・改定を加え、完全にミスのないことをセールスポイントにしている企業の実現

 ちょうど30年前に発表された論考であるが、「営業は攻め、受注は質を実現する」というタイトルをはじめ、これらは現在においてもほぼ遜色なく通用する内容ではないだろうか。そのような観点からも小誌最新号をご覧いただけると幸いである。

 

『JAGAT info』2023年6月号のご案内

◯特集 page2023開催報告
問題解決型営業への変革

 印刷業界を取り巻く状況を概観すると、ペーパーレスなどの影響で印刷物は減少し、印刷の仕事自体がコモディティ化しつつあるといえる。そこで、自社独自の商品開発や、自社の事業を再定義したうえで「お客様のコミュニケーションを支援する」などの印刷に限定しないサービスも手掛けるといった対応策が考えられる。その際、営業はどのように変わるのであろうか、またはどのように変えればよいのであろうか。
 営業力は大きな差別化要素である一方、印刷業界における提案営業の必要性はかねてから課題となっているものの、なかなか達成できていないのが実情である。今年2月8日に開催したpage2023カンファレンス【C3】「問題解決型営業への変革」では、この難解なテーマに対して取り組む2社の講演およびディスカッションが行われた。特集では、その要旨を収録する。

◯特別企画
顧客体験価値を高める実写VR制作「VR360」

 「創注」を全体テーマとしたpage2023の展示会では、映像ビジネス・技術に関する多種多様な提案が行われた。今後、店舗やイベントへの集客や、製品・サービスのアピール手段として、または印刷物を補完する役割として、映像技術およびコンテンツの利用が普及していくことは間違いないであろう。
 そこで特別企画では、映像コンテンツの実情や制作手法などをテーマとして今年4月25日に開催した印刷総合研究会「映像コンテンツと印刷ビジネス」の中から、東洋美術印刷の取り組みに関する講演要旨を収録する。

(『JAGAT info』編集部)

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