動画には、紙では訴求しづらいメッセージを伝える力がある。野毛印刷社の「動画プロモーション導入セミナー 動画の力。」を報告する。
スマートフォンからのインターネット利用者が、2015年冬にはPCを超える可能性があるそうだ(ニールセン調べ)。
2014年にスマートフォンからの利用時間が最も増加したのは、動画や音楽、ゲームなどが含まれる「エンターテイメント」カテゴリで、2015年4月では前年同月と比べると月間3時間13分の増加となっていた。
だれもがスマホを持ち、いつでもどこでもネットにアクセスできる今、「いつ、だれに、どんな情報をとどけるのか」印刷会社として考えていかねばならない。
2015年7月23日(木)15時~17時、野毛印刷社主催で第1回「動画プロモーション導入セミナー 動画の力。」が開催された。以下報告する。
同社は2014年10月に南区新川町にメディアコンテンツ制作スタジオ「C.スクエア横浜」を開設。
クロスメディア推進室の外谷泰俊氏は「紙だけで伝えきれない情報を伝える手段として一昨年から印刷物と動画などのデータを結びつけるARコンテンツサービス『つながるAR』を開始した。しかし、中小企業の中には動画をまだ制作したことのない企業が多い。その部分をサポートしたいと思い、今回の動画制作スタジオの開設と本セミナー開催に至った。さまざまなメディアを組み合わせた情報発信の提案をしていきたい」と話す。
当日は既存のお客様含め、26社39人のお客様がみえ、満員御礼となった。
セミナーは3部構成。
第一部は、野毛印刷社 営業企画本部長 田中浩氏による「動画プロモーションの効果とは」をテーマに講演。
「動画には言葉にできないメッセージを伝える力がある。紙では訴求しづらいメッセージを動画なら一目瞭然」と実際にYouTubeで公開され、人気となっている動画事例を交えて説明した。
「家族のキズナ」をテーマにした保険会社の動画だが、約2分半の間、全員が目をそらさない。涙ぐんでいる人も何人かいたはずだ。
紙面を何分見るか人それぞれだが、2分半見ても泣けない……いや、共感させる印刷物1枚をつくるのはなかなか難しい。
対して動画は、皆同じ時間を通して共通の情報を伝える力がある。動画には人のココロの奥の「共感スイッチ」をポチっと押す力がある。
田中氏は幾つかの事例を出しながら、「なぜ今、企業が動画をつくるのか?」を統計データで分析し、「動画で成功を収める」ポイントをまとめた。
第二部は、同社クロスメディア推進室 担当主任 綿引靖典氏による「動画制作について」。綿引氏は、構成作家兼ディレクター兼音声兼ナレータ兼照明を担うなど、動画のプロフェッショナルだ。
動画プロモーションに興味はあるけど「今一歩踏み出せない」「何を準備したらよいのか分からない」「自社制作の完成度に満足していない」。そんなお客様のために、「動画制作でおさえておくべきポイント」を平易な言葉で、技術寄りの話だけでなく、マーケティングの視点で解説していた。
第三部は、実際に野毛印刷で動画作成のお手伝いをしたクライアント2社の生の声だ。
NPO法人アクションポート横浜の「サンタプロジェクト」と、株式会社杉孝「横浜マラソン2015」。
「サンタプロジェクト」では、「告知」と「報告」二つの動画を依頼した。「チラシ、Web、FBなどでの告知は実施済みだ。だが、それらだけでは、実際の雰囲気を伝える限界を感じた。サンタプロジェクトの参加者をもっと獲得したい」というのが制作した理由だ。その結果、参加者が前回より1.3倍増えたという。
動画を見ることで、イベントの理解促進につながり、全体像がつかみやすい。SNSによる拡散で、口コミからの参加者も増えたそうだ。
株式会社杉孝は、仮設足場・仮設資材ののレンタルとリースを行っている会社。横浜マラソンには、ランナーと給水のボランティアを出しており、会社全体として参加した。
「マラソン大会の一日を動画でのこそう」との社長の声で作ることになった。
大会まであと2週間……。
予算と納期だけ決まっている状況で野毛印刷に依頼した。
「ちょっと無理なのでは?という困難な状況の中で、野毛印刷の担当の方が社員以上に親身になってくれ、『情熱大陸』風動画が完成しました」
やや長めの8分ちょっとの編集。
走る人、裏方として大会を支える人、応援する人。
準備段階から大会当日までを追っている。
それぞれ皆さん、とってもいい笑顔だ。社長をはじめ、社員の皆さんの顔が見える……言葉では伝わりづらいが、会社の雰囲気が出ている映像だ。
「お付き合いのある会社の皆さん、社員の家族の皆さんに、自社の雰囲気を知っていただくという意味で、とっても有効なメディアだと思う。また、これから入社いただく方にとっても、職場の理解度が深まると考えている」
スマートデバイスの急速な普及により、動画の市場が拡大しつつある。
「動画には、紙では訴求しづらいメッセージを伝える力がある」
印刷物制作と動画制作の親和性は高い。従来のノウハウを生かしながら、お客様のビジネス支援の道筋を考えていかねばならない。
(CS部 小須田紀子)