5月の売上高は△0.9%再びマイナスに転じ、受注件数も△3.7%と2014年11月以来の下げ幅になった。
全体に低調で消費増税後の反動減による落ち込みがあった昨年実績を上回ることができなかった。
地域別に見ると、首都圏以西の全地域で、マイナスに転じた。首都圏は出版印刷の低調が影響している。円安で好調な輸出産業を多く有する名古屋圏も2014年12月以来のマイナスになった。3月まで10カ月連続マイナスだった大阪圏は再びマイナスに転じた。都構想も挫折して印刷需要を喚起するような新しい動きに乏しい。
業種・業態別には商業印刷(△2.1%)が失速、出版印刷(△2.9%)は引き続き低調に推移している。紙器・事務・その他(△5.7%)はこの数カ月、月によって変動が大きい。地方に多い業態の総合印刷(+1.9%)は、2014年7-8月期以来の2カ月連続プラス。
用紙仕入額は1月以来の減少と一服感。一方、インキとCTP/PS版の仕入額はいずれも10%以上の大幅増となった。資材料仕入額が上昇する半面、労働時間は9カ月連続マイナスで工場稼働率は充足していない。印刷経営を取り巻く環境の厳しさを意味している。
【印刷会社経営者の声】
■ 茨城:商業
種まきをしながら、アベノミクスの効果が地方に、中小企業に早く来るように待っています。
■ 長野:総合
印刷機メンテナンスは品質と会社経営に直結する事項ですから、オフセット印刷機およびオンデマンド、デジタル印刷機などもメンテナンスをきちんとする。事故防止になることと環境を常に整えることが必要と思います。職場は楽しく仕事ができることが先ず何より大切と考える。
■ 岐阜:紙器
人材確保、人材配置の難しさを感じている。責任と権限について、管理者の教育・・・。根性論では解決できない問題がある。
■ 岐阜:総合
2010年6月に閣議決定された「中小企業憲章」。これを具体的な方針として各地行政が条例設定する動きがようやく始まっているようです。近い将来人口減少によって地域格差が広がっていく中で、地域に愛される企業としてより一層企業価値を高めていく必要があると思っています。
■ 岐阜:総合
紙媒体で請け負っていた商品が電子化・Web化され、新しいカテゴリーのサービスが急務となった。種をまいているので早く刈り取りできるよう、全社で知恵を出して取り組み中。
■ 大阪:総合
相当額の設備投資の補助金9000億円が早々になくなった。印刷業界ではどの程度恩恵を受けた企業があるのだろうか?
■ 和歌山:商業
5月は租税公課の支払いがあるので、どんなに売り上げが上がっても利益は出なかったのですが、「見える化」のおかげで生産効率が高まり、売り上げは昨年と変わらないながら、今年は若干ですが5年振りに利益を出すことができました。
■ 福岡:商業
九州地区だけではないが、4-6月期の景況感は非常に悪いようです。あらゆる業界において。第2・第3四半期は上昇するといわれていますが、印刷業界は必ずしもそうはいかないのではないでしょうか。