日本語組版とつきあう その48
疑問符と感嘆符の利用
疑問符は疑問や質問を示す文末に、感嘆符は驚き、命令、呼び掛けなどを示す文末につけることがある。この場合、疑問符や感嘆符は句点を兼ねており、疑問符や感嘆符の後ろには句点をつけない。
例 同じであるのか? 必ずしもそうではない。
例 本当だ! 私はそう思った。
疑問符や感嘆符は文末ではなく、語句に、つまり文の途中につける場合もある。
例 そのように謙虚?に考えれば、……
例 落ちつくのだ!と、そう思った。
文の途中につける場合は、“そのように謙虚(?)に考えれば、……”のようにパーレンでくくってもよいような例である。
文末につく疑問符・感嘆符
文末につく疑問符・感嘆符の後ろに終わり括弧類を配置する場合などを除いて、一般に疑問符・感嘆符の後ろは全角アキにしている。これは句点の後ろを空けるのと同様に、区切りを示すためである。この場合に使用する疑問符・感嘆符の字幅は全角である。
ただし、全角アキは空き過ぎと考え、横組では、かつては疑問符・感嘆符として字幅が二分のものを使用し、後ろを二分アキとする組方も行われていた(最近はあまり見掛けない)。図1に例を示す。
(図1)
このような例から考えると、縦組でも、疑問符・感嘆符の字幅は全角としても、その後ろを二分アキとすることも考えられよう(ただし、行の調整処理が必要になる可能性が高くなる)。
しかし、組版にあっては、読書の習慣にも対応する必要がある。疑問符・感嘆符の後ろは全角アキが一般的であるならば、読者もそれに慣れていると予想できるので、特に必要がないかぎり、疑問符・感嘆符の後ろは全角アキとした方がよいであろう。
いずれにしても、文末につく疑問符・感嘆符の後ろを空けることにより、文の途中につける場合と区別できる。
疑問符・感嘆符の後ろの全角アキ
疑問符・感嘆符の後ろの全角アキは、一般に全角の空白を挿入して処理している。
この全角の空白の後ろに始め括弧類が配置される場合は、疑問符・感嘆符と始め括弧類との字間は全角半アキとしないで、全角アキとする。全角の空白の後ろに始め括弧類を配置する場合、始め括弧類の前の二分アキを自動的に詰める処理が可能な組版ソフトが多いので、これはあまり問題とはならない。(なかには、ここのアキが全角半アキとなっている例も見掛けるが、注意が必要である。)
問題は、行末に疑問符・感嘆符が配置される場合である。
20字詰を例にすると、19字目に疑問符・感嘆符を配置する場合、20字目は全角アキのままとする。
20字目に疑問符・感嘆符を配置する場合、次の行頭は段落が変わるのでなければ、全角アキとしない。全角アキにすると新しい段落が始まったと誤解されるおそれがあるからである。
この処理は、なかなかやっかいである。段落の先頭行以外の行頭の全角の空白は無視するという処理ができれば、その処理が望ましい。
なかには、行末、例えば20字目に配置する全角の空白を無視する組版ソフトもある(版面の外に配置する)。この場合は、その行の字間が空けられ、19字目に配置する疑問符・感嘆符を20字目に配置するという無駄な調整を行う。
自動処理を考えるなら、全角の空白を行頭禁則とする方法もある。20字目に疑問符・感嘆符を配置する場合、次の行頭に全角の空白が配置されるが、これを禁止するわけである。その行の字間を空けて、疑問符・感嘆符の前の文字から次の行に送り出すか、その行の約物などを詰めて、行末に全角の空白を配置する。
語句につく疑問符・感嘆符
文中の語句につく疑問符・感嘆符は、一般にその前後をベタ組とするか、あるいはその前後を四分アキにする。
いっそのこと、前述したようにパーレンで疑問符・感嘆符をくくると、文末ではなく、語句につくことがはっきりしてよいかもしれない。しかし、これは原稿の修正になるので、著者の了解のもとに行うのが望ましい。
疑問符・感嘆符は行頭禁則
書籍・雑誌では、疑問符・感嘆符については、行頭に配置しない(行頭禁則)としている。
しかし、新聞では疑問符・感嘆符を行頭に配置している例がある。新聞は1行の字数が少なく、行の調整処理で字間を調整することを避けるためであろうが、文末を示す記号が行頭にあるのは、あまり好ましいことではない。