お客様にとって、最も信頼できる液晶モニタ作りを目指して

掲載日:2014年8月21日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:お客様にとって、最も信頼できる液晶モニタ作りを目指して

 

株式会社ナナオ 企画部マーケティング担当部長 山口省一氏に聞く

 

ナナオは、国内だけにとどまらず「EIZO」ブランドとして世界的にも広く事業展開をしている液晶モニタメーカーである。今回は、「EIZO」ブランドの立ち上げから先日発表された新製品、カラーマネジメント液晶モニタ「ColorEdge CG211」のご紹介まで、幅広くお話を伺った。

――始めに、パソコンの世界を中心に、「EIZO」「ナナオ」というのは非常に大きなブランドとして確立されていますが、ここに至るまでの経緯などお聞かせください。
山口 自社ブランドでパソコン用モニタの開発・製造・販売を始めたのが1985年です。この時「EIZOブランド」を立ち上げ、まずはヨーロッパを中心に海外からスタートすることにしました。
ちょうどそのころパソコンのモニタ表示能力はどんどん高まっている時期で、特にヨーロッパでは解像度の高いモニタが求められていました。そのため、高品質で解像度の高い特性をもった「EIZO」ブランドはすぐに受け入れられました。
ヨーロッパ市場で受け入れられた数年後、いよいよ国内販売を始めました。国内向けには当初会社名の「NANAO」ブランドで展開いたしましたが、事業展開を進めていくにつれ、「EIZO」と「NANAO」は別ブランドだというイメージが広がってきてしまい、このままではお客様が混乱してしまうということで1996年にブランド名を「EIZO」に統一いたしました。

――DTPの世界との関わりについてお聞かせください。
山口 当初モニタ解像度を高めたり画面を大きくするなどの性能を上げていっても、国内ではまだそれに対応できる性能をもったパソコンがほとんどありませんでした。それに対応できる性能をもっていたのはアメリカから入ってきたMacぐらいで、その当時国内製大画面モニタでMacの性能を十分に発揮できるものをわれわれがもっていたために、この分野で多くご導入いただいたということがDTPとの関わりのスタートです。
1990年代の初めごろはCRTモニタを取り扱っておりました。CRTモニタは最終的な工場の調整がその製品の見やすさなどの品質を左右しますので、工場ではかなり厳しい調整を行っておりました。これがヨーロッパでも高い評価を得られた信頼性の高さにつながっていると思います。
その後、1996年・97年ごろから液晶モニタがだんだんと出始めるようになってきて、他社に先駆けて液晶モニタ「FlexScan」シリーズの開発・生産を開始しました。当時の市場では15インチ以下の製品がほとんどでしたが、当社では18インチの高解像度、大画面の製品で市場をリードし、これが2002年に発売になったプロフェッショナル向けの「ColorEdge」シリーズにつながっています。

――「ColorEdge」シリーズについてもう少しお聞かせください。
山口 ある時期からブラウン管の生産がだんだん減ってきて、CRTモニタを提供することができなくなってきました。グラフィックアーツの世界でCRTがなくなるということになると、やはり代替えになる液晶モニタを開発しなければいけないということで「ColorEdge」シリーズの開発が始まったわけです。
開発当初は、視野角はまだCRTモニタには若干劣りましたが、IPS方式という視野角による色の変化や階調特性の変化が非常に少ないパネルが出てきましたので、「ColorEdge」シリーズはその技術を利用し、デメリットを克服しました。
また、液晶というのは階調特性がCRTのようにアナログで出しておりませんので、滑らか感が若干弱いですが、われわれはそれを工場で1台1台調整して正確で滑らかな階調特性をもたせて出荷しております。

――液晶モニタの特長をお聞かせください。
山口 グラフィックアーツの世界で申し上げますと、やはり色の安定性はぶれる要素が少ないので、CRTモニタよりも高いです。また、完全フラットなので幾何学的なゆがみがないのも、デザイン系では非常にメリットが大きいと思います。写真などを扱う場合、写真画像自体にゆがみがありますので、モニタがゆがんでいるのか、データがゆがんでいるのかCRTモニタでは分からないということがありますが、液晶モニタではそれがありません。

――先日発表された新製品「ColorEdge CG211」についてお聞かせください。
山口 「ColorEdge CG211」はグラフィックアーツ業界で求められる正確な色再現を実現する、ハードウエア・キャリブレーションへの対応や高精度な演算処理、工場で1台1台調整した正確な階調表現などに加え、1番大きい特長は、新たに独自開発した「デジタルユニフォミニティ補正回路」という、画面全体の輝度ムラや色ムラをモニタ側で補正するという機能です。これにより、従来の液晶モニタでは実現の難しかった、画面全域の輝度および色度の均一性を向上させ、さらなる高性能化を実現しました。

――御社がお客様に製品を提供する際のセールスポイントをお聞かせください。
山口 お客様にとって信頼できるモニタを提供し続けている、ということです。もちろん画質には徹底的にこだわっておりますし、技術レベルの向上は常に行っております。先ほどご紹介しました「デジタルユニフォミニティ補正回路」技術などが、その好例です。また、5年間の製品保証や、アフターサービスにも力を入れています。特にColorEdgeでは、定期的にモニタを調整し直すなど、お客様に長く使っていただけるようなアフターサービスメニューもご用意しています。

――今後の事業展開・業界への要望などお聞かせください。
山口 「ColorEdge」シリーズでは、今のところ静止画に対する性能のブラッシュアップは行っておりますが、動画についてはまだまだです。動画については、静止画とは違った性能の要求が出てくると思いますので、それらをクリアしながらお客様に信頼される製品を開発していきます。
業界への要望としては、現在色校正は紙での校正が主流ですが、海外では既にモニタ校正システムが導入されつつあるという段階です。
海外では確かに地理的条件もあり、モニタで校正のほうが効率が良いという事情はありますが、モニタの色再現精度がますます高くなっていけば、日本の市場でもモニタで校正をしてもよいというお客様は出てくると思います。おのずとそうなっていくかもしれませんが、われわれとしましてもそういった方向に進んでくれることを望んでおります。

 株式会社ナナオ
〒924-8566 石川県白山市下柏野町153
TEL 0120-956812(EIZOコンタクトセンター)
URL http://www.eizo.co.jp/

 

(2007年1月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)