DTPターボサーバーを利用したデジタルデータ運用

掲載日:2014年8月25日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:DTPターボサーバーを利用したデジタルデータ運用

 

株式会社サンビアーツセンター
東京都荒川区西日暮里2-49-2 三美ITビル3F
 TEL 03-5850-4540 / 4541 URL http://www.sanbi.co.jp/

 株式会社サンビアーツセンター(以下「SAC」)は株式会社三美印刷の出力・製版部門として1990年に誕生した。三美印刷は学術書・専門書・学会誌,論文誌などの編集・組版・印刷を精力的に行っており,Macintoshはもちろん写研システムを使用した組版を得意としている。現在でもその6割がTeX,写研システムによって制作される理工系学書である。一方,SACにはフィルム・印画紙・CTP・大判プリンタとすべての出力環境が整えられており,プリプレス事業部での作業後回ってきたデータをSACで用途に合わせて出力,さらにそれを自社工場で印刷というフローで運用されている。
  また,現在出力部門の70%がCTPに移行するなど,常に新しい技術を取り入れて活用している。フルデジタル化に向け大学のシラバスのパッケージ化やデータベースのオンライン検索サービスなど新しいサービスを打ち出し提案している。自社ホームページでは,「sanbi-i-com」というメールマガジンを発行し,変化する印刷業界の動向を自ら配信するなど,顧客満足度を上げる試みも怠らない。1895年創業という伝統にとらわれることなくさまざまなアイデアを打ち出し,実行することが同社の強みであろう。

  DTPターボサーバーでのデータ管理運用
  DTPターボサーバーIIを99年の終わりに三美印刷で導入したのを皮切りに,数回の増設を重ね2003年にSun EnterpriseベースのDTPターボサーバー5をSACで導入した。三美印刷グループで使用された顧客の画像・レイアウトデータがすべてSACに集約されるため容量の確保と,より高い安全性を考慮してのことである。
  DTPターボサーバーはプリプレスに特化したワークフローサーバである。プリプレスで使用されるデータのデジタル化に伴い,Webブラウザでのデータの一元管理・在版管理やインターネット経由のデータ集配信,リモートプルーフ,Webサービスなどへの展開を可能にするサーバとして全国約200の印刷・製版・デザイン会社に導入されている。

  (1)バックアップ・アーカイブサーバとしてのDTPターボサーバー
 SACでのDTPターボサーバー運用の中心はアーカイブデータ管理である。三美印刷内のDTPデータがすべてDTPターボサーバーに集約されているが,DTPターボサーバーに搭載されたブラウザベースのファイル管理システム「WebNative」と,それに連動するバックアップソフトウエア「FlashNet」の組み合わせを最大限に生かし,管理作業の負荷の軽減に成功している。担当の山田貴紀氏は「主に1bitTIFFなどのCTPデータのアーカイブとRAID内データのフルバックアップに使用しています。数カ月で処分してよいデータもあるのですが,万が一,再利用したいという要望があった時のために約10年分くらいのデータをアーカイブしています。データの再利用の依頼があった時は,検索を掛ければすぐにデータを取り出せるので,本当に管理が楽になりました」と,Webブラウザから簡単に該当のデータにアクセスできる点を評価している。一つの仕事で10GBもの容量になる大きなデータもあるが,そのようなものでもAITテープ装置でのバックアップにより一つのテープにすべて収まるので管理がしやすく,またオンラインのデータ同様にWebからデータのありかを検索することができる。

  (2)データベース構築で実現する顧客との連携
  SACでは,現在請け負っている雑誌広告のデータ管理に,WebNativeのデータベースオプションである「Venture」を利用している。顧客からは,「○月号XXページの広告を流用してほしい」というような指定の仕方で流用依頼があるため,それに見合ったデータベースの項目を設定する。流用の指示があった時には,そのキーワードでWebブラウザ経由で検索を掛ければ,該当のデータをすぐに見つけることができる。探し回る時間や手間も掛からないので,オペレータへの負担も激減している。

  DTPターボサーバーの優位性
  ここでDTPターボサーバーの優位性をいくつか述べてみたい。
  (1)ファイルシステムをベースにサーバ内にデータを一元化
  DTPターボサーバーでは,ファイルシステムがネットワークシステムと連動しているので,データをサーバに保存するだけで良い。データベースにあえて登録する必要はない。ファイルサーバとは別にデータベースサーバを構築した場合,データの不整合がよく問題になるが,同じサーバ内に自動でデータベースを構築していくので,そのような問題が起きない。また当然ながら後からキーワードを付けることも可能であり,SACではその機能を広告データの再利用の際に生かしている。

  (2)ブラウザからデータへのアクセスが可能
  ファイルシステム内のデータがWebブラウザから閲覧可能なので,グループ間・顧客間とのデータ共有が可能になる。従来データは個人ベースでMOやHDDにバックアップ・アーカイブされていたため,データの所在が個人でないと分からなかったり,データの二重化や紛失などの事故が少なくなかった。DTPターボサーバーで一元管理されているデータは,アーカイブされているデータでさえもサムネイル表示を見ながら直感的に閲覧・検索することが可能である。

  (3)顧客とのコラボレーション
 SACでは顧客からの依頼を受けた後,自分たちで検索し流用へのプロセスを進めているが,インターネット経由で顧客にサーバを公開し,直接ダウンロードしてもらうこともできる。顧客ごとにユーザID,パスワードを付与し,特定のボリュームのみにアクセスするように設定できるので,関係のないボリュームを閲覧される心配もない。さらに強力なセキュリティ環境を整えたい場合もニーズに合わせた環境構築が可能だ。

  デジタル時代の課題
  印刷・製版会社にとって,いかにデジタルデータ資産をきちんと管理し活用するかということが今後の経営をも左右する重要課題である。デジタルデータの活用は,従来のように生産設備への投資だけでは得られない生産効率の向上やコスト削減,新たなビジネスへの展開への可能性を秘めている。SACの事例は特にバックアップ・アーカイブデータをDTPターボサーバーで効率良く一元管理できている好例だが,「印刷業はサービス業,顧客との接点はデジタルデータ管理から」を実践するさまざまな事例をVPJホームページよりご覧いただくことができる。

■関連情報
株式会社 ビジュアル・プロセッシング・ジャパン
株式会社 サンビアーツセンター

『プリンターズサークル』2004年11月号より

 ソリューションレポート募集中

(2004年12月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)