Edian Wingによる自動組版とXMLによる新たなワークフロー提案

掲載日:2014年8月27日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ユーザレポート:Edian Wingによる自動組版とXMLによる新たなワークフロー提案

学習参考書制作に活用で効率アップ
株式会社 ニューキャスト
名古屋市中区新栄3丁目5番5号 アークビル7・8F
TEL:052-261-6365 FAX:052-261-6507
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 学習参考書などの制作を始め,情報処理・Web制作と幅広く事業展開されているニューキャスト。EdianWingを制作の中心にすることで,効率アップも可能になったとのこと。
  パブリッシングの世界におけるXMLの取り組みについても,開始して約3年になる。

  高品質の組版を納品するために
 学習参考書は「理解しやすいレイアウト」や「本を開いたときの印象」を重要視しているため,クライアントの要求レベルが非常に高くなっています。そのような中で,EdianWingの最大のメリットは「品質の良さ」「自動組への対応力」そして「再利用への対応力」と考えています。例えば,「文字に下線を引く」場合。線の太さや文字からの距離など,要求は細かく厳しいです。パーソナルユースのDTPソフトで無理やりやろうとすると,時間も掛かり,品質も安定しませんが,EdianWingなら当たり前のようにできます。もちろん文字そのものへの要求も厳しいです。例えばプラスやイコールなどの記号類。「もう少し大きい方がいい」などの微妙な要求にこたえるためには外字対応になります。Macintoshの場合,外字環境を統一するには1台ずつセットアップしなければなりませんが,EdianWingはサーバで共有化されているので,それらの作業が不要。品質に加え管理面での効果も大きくなります。
  私たちは,EdianWingの信頼性を評価して,統一された高い品質の組版をクライアントに納品することを目指しています。

  XMLパブリッシング
 DTPとXMLの研究・提案をクライアントに向けて行ううちに,クライアントの側でも理解が深まりました。ある時,クライアントから,学習参考書の制作に当たり,「データベース化したい」との依頼を受けました。データベースを組み合わせた自動組版は最も得意とするところだったため,XMLでのデータベース化を選択,併せてXMLのメリットを最大限に生かせるワークフローを提案しました。
  XMLを使っての自動化ということで,XMLのメリットを発揮するため,また,作業効率も考えて,校正を各問題単位で行うようにお願いしました。クライアントにとっては,従来と違う制作方法に戸惑う部分があったようですが,XMLを使ったワークフローは,組版業者・クライアントに時間短縮という多大なメリットと将来への可能性を生み出しました。
  たとえ一部分だけでも自動化できると,全然違いますので,今回の成功で,クライアントの方でもさらに効率的なワークフローを考えられると思います。例えばある見出しに体裁を付けるのに,書体・文字サイズ・色を1つずつ手で作業していくのと,文字を流すだけですべてが組み上がるという統一した組版がなされているのとでは,校正作業に掛かる時間が軽減されます。
  「すべてデータベースからの自動処理」これが私たちが目指すところです。

 
データベースパブリッシングで総合カタログ制作(株式会社サブヒロモリ様の例)
株式会社 コトブキ企画
大阪市北区中崎西4-3-12
TEL:06-6372-5669 FAX:06-6372-0586
http://www.kotonet.co.jp/

 システム開発の背景
  現状の総合カタログは,MS-Access*1のレポート機能を使ってPDFからモノクロ印刷されています。問題点としては,「デザインの自由度が低い」「並び替えやページ切り替えが不自由である」「編集に膨大な時間が費やされる」といったことが挙げられます。さらに要望としては,写真を大きく取り扱い,カラー化。巻末にバーコード入りインデックスページを付け,顧客への訴求力を増す。商品の改廃が頻繁にあるため,制作のランニングコストを抑え年2回制作したいということがあります。商品データを有効に活用し,印刷物と印刷物以外のメディアへ手軽で安価に展開する方法はないかと要望がありました。

  システムの概要
  商品データの入稿は,基幹系データベース(DB)からのデータにカタログ用の情報を付加したExcelデータとします。ライフサイクルが短い商品もあるため,期間を設けてデータを入稿し,タイムラグの少ない最新データに保ちます。
  自動組版は,データ形式やデータの規模,予算などを考慮してDBはMS-Access,プログラム言語はVBA*2,自動組版機はEdianWingを使用します。編集方法は,商品分類や商品名をキーとして要件定義し,商品並び替え,ページ切り替えをプログラムにて自動制御します。巻末インデックスはカタログのページ情報を基に自動作成します。
  マルチメディアへの展開は,MS-AccessからXMLデータを書き出し,Webサーバ上でクライアントからの入力に応じてXSLTを切り替え,要件に沿ったさまざまなレイアウトでの出力に対応します。また,ローカル環境でXSLTを用いてHTMLファイルに変換することで,ブラウザを使ったCD-ROMカタログの制作を容易にします。
  システムの特長
  システムの特長は,要件に即してRDBとXMLのそれぞれを得意部分を組み合わせています。
  RDBはデータ検索,抽出,並び替えなどを高速に実行できます。そして,定型レイアウトパターンに対して,高速かつ容易に自動組版ができます。一方XMLは,XSLTを変更することで容易にデザインパターンを変えることが可能です。XMLの各ノードに応じて複数テンプレートを用意し,それらを組み合わせ,顧客要望に応じて,表示内容やレイアウトを容易に変更することができます。また,XMLデータは印刷用のRDBから自動的に発生させますので,個別に作成した時に生じる入力ミスによる事故などを未然に防ぐことができ,校正に掛かる費用と時間が軽減されます。

  今後の展開
  商品カタログに使用したデータはXMLへ変換するので,修正データを基幹システムへフィードバック,ほかの業務用DBへの転用など,汎用的に用いることが可能です。またWebサイト構成によって,単純な受発注システムから基幹系システム,ロジスティックシステムなどのバックエンドシステムとの連携によりCRM/SCMといった中大規模のシステム構築に発展することが可能です。
  自動組版システムは,総合カタログ以外に商品分類やテーマごとの個別カタログ,販促用チラシ作成へ応用し,よりターゲットを絞った訴求効果の高い販促アイテムを制作できます。

  *1:MS-Access=マイクロソフトが開発したデータベースソフト。
  *2:VBA=マイクロソフトが開発した,自社のアプリケーションのための共通マクロ言語。Visual Basicに基づいた言語。

 

 関連情報
キヤノンシステムソリューションズ株式会社

ユーザレポート募集中 

 『プリンターズサークル』2003年6月号より

(2003年7月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)