※本記事の内容は掲載当時のものです。
ユーザレポート:XML技術により、大幅なコスト削減を実現する「求人受付システム」
ネイティブXMLストレージ(Well-formed XML完全対応のネイティブXMLデータベース)を提供する株式会社メディアフュージョンは,企業の求人に対する応募データの管理から応募者への各種通知,面接結果の管理などの人材採用時の一連の求人受付フローに係るコストを大幅に削減する「求人受付システム」を開発した。
開発のきっかけ-応募者データの整理に追われる毎日
本システムは,開発会社であるメディアフュージョン社の求人受付の事務担当者からの強い要望に基づき企画・開発されたものである。なぜこのような求人受付のシステムが必要であったのか,採用事務を担当している総合管理部谷村育子氏に聞いた。
「理由は大きく2つあります。一つは業務の効率化です。当社ではホームページ上での人材募集やハローワークや外部機関からの紹介による人材募集を行っていますが,景気低迷が続く中,企業求人に対する応募者はここ数年増加の一途をたどっています。当社も例外ではありません。特に企業の求人受付業務は,履歴書の受付から応募者への連絡,書類審査,応募者への連絡など多岐にわたるうえ,個人情報を取り扱うので大変神経を使う業務でミスも許されません。毎日送られてくる応募書類を職種別などで区分し,面接にかかる一連の手続きや不採用者への履歴書の返送など事務作業に追われると一日があっというまに過ぎてしまいます。何か業務の効率化ができる方法はないかと考えておりました。
もう一つは,応募フォームを適時変更したかったからです。応募者から送られてくる定型の履歴書には,私どもが聞き出したい情報がすべて記載されておりません。各企業によって応募者に聞きたい項目があると思います。しかし採用担当者が自由に応募フォームを作成し,それをデータとして一元管理するとなると従来のシステムで対応するのは難しく,フォームの変更に当たってその都度システムの再設計を依頼するなど,時間とコストがかかり,さらに手間もかかるといわれ半ばあきらめかけていました」(谷村氏)
本システムの特徴-XMLストレージの採用で作業の効率化と柔軟なフォーム変更を可能に
このような不満・要望を聞き,プロジェクトを立ち上げたのが,これまでXMLをベースにした多くのシステムを手がけてきたメディアフュージョン社ソリューショングループである。リーダーの稲岡氏に本システム開発に当たって留意した点などについて聞いた。
「このシステムの大きな特徴は『応募者のフォームを自由に作成,変更できる』という点です。このシステムでは,採用担当者が普段使い慣れたマイクロソフト社のWord やExcel,あるいはサン・マイクロシステムズ社のStarSuiteのビジネスアプリケーションを使って自由に応募フォームを作成することができるうえ,フォームの変更にともなうシステム変更を一切必要としないというのが特徴です」(稲岡氏)
なぜそのようなことが可能なのか,稲岡氏は以下のように説明する。
「それは本システムがネイティブXMLストレージ『Yggdrasill EsTerra(イグドラシル エステラ)』を採用しているからです。従来のRDBを利用したシステムだと,データ構造が変わるたびにデータベースを修正する必要があり,作業が非常に面倒で時間とコストがかかるというデメリットがありました。本システムでは,Well-Formed XMLに完全対応したネイティブXMLストレージを採用しているため,応募フォームの変更に伴うシステム変更を一切必要としません。
応募者がアップロードした応募データは自動的にXML形式で変換抽出され,各応募者のファイルとセットでネイティブXMLストレージ「Yggdrasill EsTerra」に格納されます。この時,内部的に扱われるデータはXML化されるため,たとえフォームが変更されても柔軟に対応し,かつ拡張性に富むデータ管理が可能となるというわけです。
履歴書フォームの特定の項目にXML情報を埋め込むのは,ドラックアンドドロップで簡単に行えます。
手順として,まず応募者は採用企業が作成したフォームを所定のサイトからダウンロードし,それに必要事項を入力します。これを再び所定のサイトへアップロードすることによって電子申請を行います。フォームがサイトに送られてくると,「Yggdrasill EsTerra」に格納されます。一度格納されたデータは,Webブラウザを通じてリアルタイムに閲覧できます。履歴書に記載された年齢,希望職種などフォームに設定した項目別に検索を行う,あるいはワークフロー管理によって,応募者へのメール連絡,結果通知などの自動処理が可能です。採用担当者の必要とする多角的な検索を可能にするため,検索対象となる項目も応募フォーム内の任意の個所に自由に設定できます」(稲岡氏)
本システムの導入-必要な人材の早期採用と採用業務の効率化の実現
本採用受付システムの発売に先駆け,メディアフュージョン社総合管理部では,自社の求人受付システムとして一部運用を開始している。
「応募者の方に当社のWebサイトからダウンロードして頂いている応募フォームも,私が実際に作成したものです。履歴書などはこれまでファイル名で識別するしか方法がありませんでしたが,このシステムではXMLを利用し,各指定項目にXML情報を埋め込んでいるため項目ごとでのピンポイント検索が可能で,履歴書などの大量の応募書類の検索が非常に楽になりました。フォームは普段使用しているソフトで簡単に作成できましたので,電子申請システムといっても複雑な操作は不要で,システムに関して素人の私のような者でも,操作が簡単でした。このシステム導入後,応募者の方に対しては,より迅速に誠意をもって対応できるようになったと思います。今後は,さらに多くの方に当社の求人にご応募いただけるように求人活動を積極的に行っていきたいです。採用担当者の作業時間の短縮や優秀な人材の早期確保のためにこのようなシステムのニーズは高いのではないでしょうか」(谷村氏)
■関連情報
株式会社メディアフュージョン
『プリンターズサークル』2003年5月号より
(2003年6月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)