インキのツボ上がり現象とは(222)

掲載日:2014年9月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

インキのツボ上がり現象とは(222)

【概要】
インキのツボ上がり現象とはどのようなことをさすのですか?

 【解決方法】
インキのツボ上がり現象はインキ流動性に大変関係が深いです。
インキの特性にチキソトロピー(ある粘体にエネルギーを加えると粘体は流動性を増し静 止すると元に戻ろうとする性質)が大きく関係します。室内の温度というより、チキソト ロピーの性質が弱まったときに起きる現象です。室温が低すぎる時はインキが硬くなっ てインキの流れが悪くなった時(これは温度に関係あり)、ツボの中のインキが乳化現象を起こしたとき(インキがボソボソになったとき)などに起きる現象です。
  湿し水のエッチ液についての良し悪しは、その会社で使用している水道水(原水)と使 用しているインキとエッチ液のマッチングが一番大切です。例えば、福岡地域で良い結果 が得られるエッチ液が、大阪・東京地域で必ずしも良い結果を得るとは言えません。日本国内に約300種類のエッチ液があるといわれています。
その中から最適なエッチ液を選び出すのがオペレータの腕と言えましょう。  ブランケットについてはゴム表面の粗さと、網点品質との深い関係があります。表面が 粗いブランケットは網点形状は良くありませんが、ベタ刷りの時のブランケット紙離れ(QR特性)は良く、ベタの着きも良いでしょう。表面の細かいブランケットは網点形状は良いですが、ベタ刷りに難があります。くわえ尻側のカールは大きくなりやすいこともあります。網点が多いプロセス印刷の胴仕立てはハード仕立てが良い結果を出しています。P-B間の印圧が強いと網点の品質は低下します。
 日頃の印刷物がプロセスが多いのか、ベタが多いのかでブランケットを選ぶ必要もでてき ます。ある会社などはブランケットを、網用・ベタ用と2種類持っていて、それぞれの用 途によって使い分けています。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)