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書体の起源:書体の概要
1.書体の概要
文字は約五千余年前,中国の黄河流域で言葉を伝達・記録するための符号として社会環境などの変化に対応して推移し発展してきた。一方書体は,亀の甲や牛の骨・青銅の器・版木彫刻の文字・毛筆などの用具の書など,文字を記録する媒体によって多彩な様式が生まれる。書体は時代背景や作者の個性が反映す書風などが相俟って,それぞれの書体が完成したものである。書体の変遷は篆書,書,楷書,行書,草書と段階的に推移してきたのではなく,過渡期的な書体があり時代を経て洗練されたものである。後に篆書,隷書,楷書,行書,草書の書体(スタイル・書風)として完成し名称がつけられたものであるが,各書体には固有の字体をもち,書体と字体はともに推移しているのである。
現在の明朝,ゴシック体は,字を記録する媒体に適応してきた歴史的書体の推移のなかで,現代のメディアに適応した読み書きの代表的な印刷書体とし発展し使用されている。
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)