2.自動鋳造機を理解する

掲載日:2014年9月18日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

アナログ博物館:鋳造機の機能と特徴

 
2.自動鋳造機を理解する

1)トムソン型
 自動鋳造機は,トムソン型が明治44年はじめて印刷局にはいった。この機械は,自動仕上げを行なうほかに,鋳型の中板をとりかえるだけで活字の大小を変えることができる。そのためには,母型の深さが均一であることが条件であるし,平らな板状の母型を用いなければならず,母型のつくりかえなどの費用がかかるのでわが国ではあまり普及しなかった。しかし,このトムソン機に刺激されて,池貝・大岩が類似品を製造していた。トムソン機は英文用であるため天地の仕上げはできるが左右(幅)の仕上げはできなかったものを,四方仕上げのできる機械に改造したのである。昭和25年ごろから製造された小池式がそれである。このほか昭和10年ごろつくられた須藤式もトムソン型に似た機種であったが,普及に至らなかった。

2)林栄型
 現今もっとも普及しているのが林栄社の万年鋳造機で,類型に八光鋳造機がある。林栄型は加藤顕次郎・物部延太郎両氏の設計で林栄社から大正15年秋に売り出された。八光は津田藤吉氏の設計で昭和23年4月に市場へ出た。これもすこぶる評判がよい。機構は林栄・八光ともにすぐれており,韓国・中共・台湾・南方諸国へも輸出されている。また林栄社は昭和38年に全自動活字鋳造機オートキャスターを発表している。この機構は母型庫に約100本の母型を収容して,自動的に母型を交換する。これに乱数計数器を取り付けると,指示された数量だけ鋳造し,1日2-3回セットすれがよい。八光の全自動セルフ鋳造機も同じ機能を備えた機械であるが,さらに文選箱自動交換装置・地金補給装置・尻贅片の還元装置を完成して,鋳造機の完全自動化を積極的に推進している。

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(印刷情報サイトPrint-betterより転載)