※本記事の内容は掲載当時のものです。
アナログ博物館:ページ物印刷物企画 [企画]
2. ページ物の費用
ほとんどのページ物は多種少量商品ですから,内容も費用も一点一点違ってくるのは当然ですが,共通した項目もあります。
2.1 内容と体裁
企画を大きく分けると,中身に当たる情報内容と,容姿にあたる造本・体裁とがあります。情報内容は,目次,著者,印税,原稿料,企画目的,内容レベル,読者,原稿枚数,脱稿日,発刊日,定価などです。一方造本・体裁として決めるべきは,組体裁,版型,部数,写真,頁数,表紙デザイン,印刷方式,製本方式,図版,表組などのスタイルです。
本そのものにも箔押し・製函・しおり・表面加工などいろいろな工夫・装飾があり,当然それなりの費用がかかります。
2.2 制作にかかる費用について
ページ物の製作にかかる費用を大雑把にあげると,次のようになります。
(1)企画・編集・デザインにかかるにかかる費用→用紙(材料)料金
(2)原稿(文字・イラスト・写真)を依頼したときにかかる費用→原稿料
(3)レイアウトや文字の組版にかかる費用
(4)写真・イラストを仕上げる費用
(5)刷版・印刷にかかる費用
(6)製本にかかる費用→用紙(材料)料金
(7)印刷するための紙や材料にかかる費用
以上が大雑把な費用項目ですが,実際にはもっと細かい経費項目・見積り項目があります。つまり各々の工程の費用の積算で全費用は決るわけです。つまり,どのような工程を経るかということと費用が対なので,工程を知って,企画内容に最もフィットした造本設計をしなければなりません。
以上の各費用項目のうち,(1)企画・編集・デザイン,(2)原稿料,(3)レイアウト組版,(4)製版のグループは固定費で(5)印刷,(6)製本,(7)用紙・材料のグループは,変動費であり両者の性格は大きく異なります。
印刷の目的は大量複製ですが制作工程のなかで刷版以前は一品生産になるので,原稿準備からオリジナル原版のための固定費になります。この部分を誰がどのように行うかで,小部数印刷の費用は大きくかわります。それに対して大量印刷をする場合は変動費の印刷・製本代によって総費用が大きく変ってきます。
印刷の製作総費用が決まっている場合の費用と内容のバランスのとり方は,(1)変動費を下げる(つまり部数を減らす)か,(2)固定費を圧縮するか,の二者択一なわけですが,(2)の固定費の圧縮は内容(情報内容と造本)に大きく影響し,出版企画に変更をきたすものです。よくわからない時には印刷会社に,プロセスと費用の的確な提示,アドバイスを求めることが必要です。
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)