「JAGAT印刷産業経営動向調査2014」より新技術、サービスの導入状況、満足度、導入意向を紹介する。
JAGATが毎年、会員企業を対象に実施している「印刷産業経営動向調査」の2014年度の調査結果から新技術/サービス/システムの導入状況、今後の導入意向についての結果を紹介する。
本調査回答企業の平均従業員規模は116名、1社当たりの平均売上高は23億円であり、中堅クラスの印刷会社が中心である。
【表1.現在導入率の高い順】
表1は新技術/サービス/システムの導入状況と満足度について、現在導入が多い順に並べたものである。第1位はカラーマネジメントシステムで70.4%、第2位がバリアブルデータ印刷の60.2%、第3位は高精細/高色域印刷で50.9%、次いで電子出版/電子カタログが42.6%となっている。ここまでの順位は昨年度調査と全く同じである。導入率が4割を超えるのも上位4位までである。
今年度、導入率が大きく伸びているのは、電子販促(デジタルサイネージ/電子チラシ/AR)と動画制作の二つで、図らずも両者とも昨年度23.2%から今年度30.6%と同じように伸びている。スマホ/タブレット対応アプリ制作も順調に導入が進んでいる。デジタルメディアへの積極的な対応が窺える。
一方でWebToPrintは意外に普及が進んでおらず15%台にとどまっている。 導入した結果の満足度は、A:大変満足、B:やや満足、C:普通、D:やや不満、E:非常に不満の5段階評価で回答してもらい、A:5点、B:2点、C:0点、D:-2点、E:-5点という重みづけで点数換算して満足度を数値化している。
導入率の順位は昨年からの変動が少ないが、満足度については大きな変動がみられる。 導入率が10%を超えているもので、平均満足度が高いのは高精細/高色域印刷(0.87点 前年は3位)、カラーマネジメント(0.76点 前年も2位)、JDFワークフロー(0.74点 前年は7位)の順となっている。
【表2.満足度の高い順】
一方で、デジタルメディア系の選択肢は昨年度に引き続いて今年度も低調となっている。電子販促の満足度が0.00点(昨年は▲0.10点)、電子出版/電子カタログが▲0.13点(昨年は▲0.23点)、スマホ/タブレット対応アプリ制作が▲0.26点(昨年は▲0.74点)であった。
しかしながら、いずれも数値は改善されており、我慢は続くが明るい兆しも見えつつあるといえそうだ。なお、業績との関係をみると、電子販促、CG制作、動画制作を導入している企業の業績は収益性、成長性とも平均より高くなっている。 業績が良いので先行投資をする余裕があるという見方もでき、因果関係は断定はできないが、たとえ事業単体では収益がでずともデジタルメディアへの取組みが印刷需要を喚起するという相乗効果で結果を出している企業は確実にありそうだ。
(JAGAT CS部 花房 賢)