7月の売上高は+1.9%、2カ月連続プラスは2014年8-9月期以来。この4月以降は±0前後で安定推移しているが、印刷会社ごとのばらつきは大きい。
地域別では、首都圏が+0.8%と5カ月ぶりのプラスに転換。甲信越静と名古屋圏は5%超の高いプラス、輸出産業の牽引する中日本は特に好調。名古屋圏以北は北海道まで含め全地域でプラスと、東日本で回復傾向が見られた。大阪圏は△4.0%、近畿・四国・中国は△1.3%と、西日本は低調。前月は中日本から西日本にかけて堅調だったので、7月は6月と逆の様相になり、このような状況で中日本の安定が際立つ。
業種・業態別では、商業印刷(△0.4%)が先月に続き前年同月同水準で推移。1月から7月までの2015年累計も△0.2%とほぼ前年増減なしの状況。出版印刷(+3.0%)は2014年8-9月以来の2カ月連続プラス。ただし、マイナスの月は落ち込み幅が5%超になるなど下振れの大きくなる月がある。総合印刷(+1.2%)は2カ月ぶりのプラス。業種・業態別で最も安定しているのは取扱いサービスの幅が広くリスクヘッジされているためか。紙器・事務・その他(+6.6%)は2014年5-6月以来の2カ月連続プラス。
受注件数は△0.3%。ほぼ前月と変わらない。受注件数前年比が売上高前年比を上回る月がやや増えてきた。物価高、材料費値上がり、価格安定、受注1件当たり単価の上昇、ロット小型化の一段落?など、状況は依然として厳しいにせよ、これらの要因が複合的に作用して平均受注単価を押し上げた結果である。
用紙仕入額は△4.2%と2014年10月以来の落ち込み幅、インキ仕入額も△3.3%、両者とも2月以降は高水準で推移してきたが落ち着いた。CTP/PS版は+5.2%と依然高水準。
労働時間は消費増税前の駆け込み需要が発生した2014年2-3月以来の2カ月連続プラス。材料仕入れの減少と合わせてみると、労働時間増をもって工場稼働率が高まったとは現時点で言いづらい。
【印刷会社経営者の声】
■ 茨城:商業
小ロットの仕事が多く、設備の稼働率を上げるのに苦労しています。
■ 長野:総合
新たな成長分野にチャレンジする。基本を固め、信頼性の高い仕事をし、現場力を向上させる。新たな成長分野へチャレンジしながら成長領域を見つけて、目標を達成させる。
■ 岐阜:紙器
先月、社員の個人面談を実施し、会社に対する要望を幾つか聞いた。可能な範囲で対処したいと考えている。先月「J・F・ケネディ展」に行ってきた。「会社が何をしてくれるのではなく会社のために何ができるのか」を考えてほしいとも思った。
■ 岐阜:総合
数カ月前から追っていたデジタルサイネージ案件を受注することができましたが、11社の入札と、どの分野も競争は激しい。印刷会社である当社が落札したことによるメリットある提案を今後お客様にできればと思っています。
■ 和歌山:商業
特に仕事が少ない夏期において、今年は特需により売り上げ増が続きます。未来費用として内部留保を高めるとともに、社員のモチベーションをアップできるインセンティブを支給できることは嬉しいことです。