印刷業定点調査 各地の声(2015年9月度)

掲載日:2015年12月14日

9月の売上高は+0.5%、4カ月連続プラスは2012年8-11月期以来33カ月ぶり。

売上高のプラスは小幅ながら、過去数年なかった安定状態で推移している。ただし、9月はシルバーウィークへの不満が多く聞かれた。連休前に仕事が相当に集中、繁閑のコントロールが難しかった。

地域別では、首都圏(△7.6%)が3カ月ぶりのマイナス。東京の地場産業ともいえる出版印刷の落ち込みが影響した。甲信越静と名古屋圏は2カ月ぶりのプラスを回復。大阪圏は2カ月連続のプラスと、首都圏以外は堅調だった。

業種・業態別では、商業印刷(+2.8%)が4月(+5.7%)に次ぐ今年2番目の高さと好調。出版印刷は2014年4月以来、16カ月ぶりに10%以上の大きな落ち込み幅となった。総合印刷は3カ月連続のプラス。10%以上落ち込んでいる印刷会社も含みながら、差し引きすればプラスの状態が続く。4カ月連続プラスのその他(事務用・包装用)は、業種・業態別で最も好調だが、伸び率は2カ月連続で鈍化した。

受注件数は△0.5%。2015年は9カ月のうちで5回、売上高が受注件数を上回るという数年来の状況。価格下落が収まりつつあることを示唆している可能性がある。
用紙仕入額(+8.3%)は2カ月連続の高水準。インキ(+8.3%)、CTP/PS版(+3.0%)も同様に高止まり。労働時間が4カ月ぶりに減少したのは、シルバーウィークによる稼働率低下が影響しているだろう。

【印刷会社経営者の声】

茨城:商業 

ガソリンが安いので休日は車が混んでいますね。消費増につながればいいですね。

東京:商業 

9月、引き合いは増えたが売り上げは減った。小ロットで利益を確保する構造が必要と感じる。

神奈川:商業 

JAGAT大会2015で塚田会長から『未来を創る』にみる新しい企業経営とは、と題して印刷業界の進むべき方向性が示されました。また、藤井部長から印刷業界最新動向の報告があり、当社が行ってきた設備投資や重点施策が的外れでなかったことが確認できました。安堵しています。

長野:総合

見積技術の向上を考える。こと営業は提案型営業を進めていくことが必要。部門別利益管理を求めて印刷企業も見える化経営に改善することが最善と考える!デジタルビジネスも含めて見積もり技術を向上させる。

岐阜:紙器

努力に必ずしも「成功」は約束されないが、「成長」は約束されると聞いた。納得。しかしつい成功を求めてしまうのは、自分のスケールが小さい証拠か。

岐阜:総合

9月から下期がスタートしましたが、対前年同月比で大幅にダウン、大型連休もあり稼働率もよくなかった。休みが多いのは嬉しいが、多すぎるのも経営的には厳しく、心情的には複雑だ。日頃の業務の効率化が大切だと痛感している。

岐阜:総合

新卒採用に苦戦している。9月決算は、4年連続で増収増益を実現できた。新しいサービスも少しずつ伸びており、新しい営業構造を早く確立したい。

和歌山:商業

戦略策定において業界動向の考察は必須項目です。業績良好印刷会社の経営者の思考をよく精査するとともに、コアコンピタンスをもう1度見直して、ブレの少ない戦略を立案していきます。