パーソナライズが重要なDMにおける印刷会社の役割

掲載日:2015年11月26日

紙メディアの苦境が続く中、DMは近年、売上に直結する行動喚起力やビックデータによるデータ活用に強みを持ち、バリアブルプリントによるOne to Oneが可能な販促メディアとして、再注目されている。

電通が発表した「2014年 日本の広告費」によると、主要な販促メディアの1つに数えられるDMは、紙メディア減少のイメージに反し、2014年の市場規模は3923億円(前年比0.8%増)と微増、2年振りの増加となった。

近年はデジタルマーケティング全盛の時代といわれているが、DMは、伝えられる情報量が多いこと、One to Oneのパーソナルメディアとしてターゲットに合わせた訴求が可能であることから、WebやSNSが苦手な「コンバージョン(販売や獲得)」に強みを発揮する、という再評価が進み、実際の購買行動に近い販促メディアとして活用されている。

特に、成長産業である通販業界においては、多くの企業が大量の顧客データ(個人の属性をはじめ、購買履歴データなど)を蓄積、データ管理・分析、ターゲティングなどを行いながらDMの効果や効率の向上を図っている。

また、キャンペーンの告知や導入を、認知や話題作りが得意なWebやSNSで展開して見込み客の情報を獲得、販売のフェーズでは個人への訴求メディア、レスポンス系メディアとしてDMでクロージングを行うなど、異なる役割を活かしあうクロスメディアキャンペーンの中で強みを発揮する例も増えてきた。

日本郵便は、優れたDMを表彰する「全日本DM大賞」を開催しているが、2014年に開催された「第29回全日本DM大賞」で金賞グランプリを受賞したのは、トッパン・フォームズ(株)「DM研究の集大成!体験型ギミックとストーリー展開で気持ちを動かす新規開拓&リピート促進DM」だった。

これはBtoBのDMで、データ活用で厳選した見込み客に対して、顧客が確実に手に取り開封してもらえるよう、同社に蓄積された様々な知見を用いて、インパクトある「ポスト型」と「道具箱型」のDMを作成した。

既存客向けとなるポスト型DMの中には、生活者体験ができる3種類のDMが入っており、生活者がポストからどのようにDMを取り出して閲覧するか体験できる、Web動画への誘導も掲載されるなど、アナログとデジタルを組み合わせた設計になっている。

このDM設計の基本となっているのは、トッパン・フォームズが持つ、ダイレクトマーケティングの支援機能「LABOLIS」が蓄積、研究してきた国内外の豊富なDM事例やデータを活用した先進的な調査手法、脳科学など、豊富な知見である。それらを基礎に、複数のサービスを展開、顧客の課題を解決するコンサルティング業務にも力を入れているという。

コンバージョンや行動喚起力に対する再評価、クロスメディアキャンペーンの中での強み発揮、各種顧客データなど、いわゆるビックデータの活用、その出口メディアとしての可能性など、DMにとって追い風が吹く。今後も、どのような事例が生まれていくのか、メディア環境や周囲の状況、動向と合わせ注視し、パリアブルプリントにおける印刷会社の優位性や役割を打ち出していく必要がある。

(JAGAT 研究調査部 小林織恵)

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2015年12月11日(金) 14:00-16:20(受付開始13:30より)

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