10月の売上高は2015年4月以来の高さとなる+2.2%だった。5カ月連続プラスは2012年7-11月期以来35カ月ぶり。
ただし、2014年10月が大幅普請だった(△2.7%)ことの反動増要因がある。受注件数は△0.9%と小幅なマイナス、8月(+3.2%)から2カ月連続の低下だが、現時点では実質的に横ばいとみていい。
2015年は10月までの10カ月累計で売上高は+0.7%の微増、受注件数は△0.4%の微減。売上高伸び率が受注件数伸び率を1.6ポイント上回っている。2000年以降、売上高が受注件数を1ポイント以上上回った状態は初である。売上高のプラスは小幅ながら、過去数年なかった安定状態で推移している。
通常、価格下落局面ではうリア型か伸び率より受注件数伸び率が高くなる。同じ件数なら価格が下がっただけ売上高が減少するからだ。2015年の逆転現象は、印刷価格の上昇が一因の可能性がある。
地域別では、地場産業ともいえる出版印刷の落ち込みが影響して首都圏(△0.5%)が2カ月連続のマイナス、甲信越静がマイナス転換。一方、名古屋圏は2カ月連続のプラス、大阪圏は3カ月連続のプラスとなっている。
業種・業態別では、商業印刷(+0.9%)が2カ月連続のプラス。出版印刷(△13.6%)は2カ月連続で10%以上落ち込むかつてない不振。総合印刷(+4.3%)は4カ月連続のプラス。地方に売上高2桁増が散見される。紙器・事務・その他(+1.1%)は2015年6月以降、堅調に推移。
仕入額は、用紙(△0.8%)が2カ月ぶりの減少。インキ(+0.5%)は大幅増が一段落。CTP/PS版(+7.1%)は高止まり。労働時間(△1.7%)は受注件数減少に比例して2カ月連続減少した。
【印刷会社経営者の声】
■ 茨城:商業
印刷製品+動画の案件が増えています。
■ 東京:商業
今期最高利益を記録した。勝ちパターンを分析し、意識付けをし、改善につなげていきたい。
■ 長野:総合
改善による変化は成果につながります。目標は成果達成の喜びにつながり、さらに評価につながります。これにより意欲が出て創意につながり、多能工的発想が生まれます。(企業の)継続は力なりといいます、継続を確実なものにしていきましょう。
■ 岐阜:紙器
凡ミスはなぜ起こるのか、それは一人で行うからだ。防止策は他人の力を借りることだ。つまりチームワークが重要ということだ。そのために不可欠なのは…。やはりコミュニケーションということか。
■ 岐阜:総合
現在、景気対策として地方への予算のばらまき、東京五輪需要、インバウンド等があるが、2021年以降の国内がどうなるか気になるところ。アジア各国の経済成長による日本の存在感の低下、東京五輪需要の終焉。今日、明日は良くても5年後10年後が心配だ。
■ 和歌山:商業
JAGAT大会2015での山田教授の「異業種に学ぶ『競争しない競争戦略』―収益を生むイノベーションとは」の講演は素晴らしいものでした。中小企業にしかできないニッチ戦略を考えてみたいと思います。