基調講演は毎回検討を重ねに重ねて決定するのだが、今回は一押しだったシンフォニーマーケティングの庭山氏に快諾いただき、氏を中心に組み立てている。
マーケティングオートメーションというと、DMや小ロットのデジタル印刷を専門にしているところしか関係ないと思っている印刷会社も多いかもしれない。
しかし、印刷というメディアがこのまま永久に、世の中のニーズだけに依存しつつ(受注産業として)、口を開けて待っているだけで生き残れると思ったら大間違いである。
もちろん世の中の変化にそって、印刷メディアもターゲットをハッキリさせたマーケティングツールにならなければいけないし、そのベクトルにそった提案も必要になってくる。「印刷業はマーケティングが苦手」というのは、理解しているつもりだが、さすがに「それじゃしょうがないですね」では通らなくなってしまったのだ。印刷業がこの先存続するためには、マーケティングこそ必須であるというのが、2016年度の新年に思うことであり、間違いではないと思っている。
マーケティング、特に新しいマーケティングとはどういう事なのか?今回一押しの講師である庭山氏に直接話をお聞きし、新しい印刷ビジネスを模索しているスピーカーの方々と議論しようというのが、基調1「マーケティングオートメーションと印刷ビジネスの未来」である。
デジタル印刷で小ロットビジネスやDMを模索している方はもちろんだが、チラシ等の商業印刷を専門にしている印刷会社にとっても必ず役立つ内容だと信じている。チラシを専門にしている印刷会社も、じわじわっとビジネスの変化(マーケティングの変化)が押し寄せているのは感じているはずだ。チラシよりDMの方が、効果があるといって、チラシからDMに業態を変革すれば大丈夫等ということではなく、マーケティングということからまずは考え直す必要があるのだ。つまり何のための印刷物か?ということである。
そしてそのマーケティングを理解した上での表面加工技術だったり、生産管理技術であったり、クロスメディア技術なのである。現在マスメディア(大量生産)を推進している印刷会社の方には是非とも聞いていただきたい内容である。マーケティングオートメーションに関した理論はITが主体の話ではあるが、印刷とも親和性は高く、目から鱗の話満載で、印刷業の世界が広がること請け合いである。
基調2「印刷メディアのニッチ戦略」は以前JAGATで主催していた経営シンポジウムを復活させたものだ。JAGAT大会でお願いした山田英夫先生の話が大変面白く、且つ講演が終わった後、懇親会で先生と印刷会社の方の議論が大変参考になったので、この議論だけをセッションにしてしまおうということでもある。「競争無き競争」というか?印刷業でも同じ設備で、同じ営業スタイルで、無意味な競争ばかりするのではなく、独自の路線を切り開いていくのは決して無理な話ではない。そんなベクトルを二時間かけて山田先生を中心に考えてみたい。
2日間は大変だとも思うが、この二つを聞いていただくと、印刷会社のビジネス自体をゼロから考え直せるのではないか?と思っている。この二つを聞くことで再度自分のところのビジネスを検討してみていただきたい。