最近、日々耳にするキーワードが「IoT(Internet of Things)」である。家電関連など、今後、急成長すると見込まれている。
IoTは「モノのインターネット」とも呼ばれ、PCやスマホを人が操作してインターネットに接続するのではなく、家電などのモノが自らインターネットに接続して情報を送受信できることが大きな特徴である。例としてよく挙げられるのが、カギをかけ忘れて外出したときにスマホに警告通知が届くとか、エアコンのオンオフを外出先からスマホで制御できるなどである。
印刷ビジネスとの関連で注目したいのは、IoT家電とネット通販や情報サービスとの連携である。昨年大きな話題となったのは、ハイアールアジア(株)が発表した液晶ディスプレイのついた冷蔵庫である。Android OSとWi-Fi通信機能を備えている。
製品コンセプトを端的に表しているのが製品の呼称で、メーカーはこの製品を「冷蔵庫」ではなく「冷蔵機能付きディスプレイ」と呼んでいる。このディスプレイにアプリやコンテンツを提供することで、サブスクリプション型ビジネスモデル(年間や月々などの定期・定額課金制)を目指すとのことである。広告メディアとして使うことで、ユーザには製品を低価格で提供することができる。将来的には冷蔵庫(ディスプレイ?)本体は無償配布となるのではと囁かれている。
かつてテレビ放送のデジタル化によって折込チラシはなくなると言われたこともあったし、電子書籍は紙の本を駆逐すると言われたこともあった。現実は必ずしも絵に描いたように進むことはないし、ビジネスで勝者となることはタイミングもあるのでさらに難しいだろうが、こうしたディスプレイにデジタルコンテンツを供給するニーズが高まることは間違いない。そのコンテンツ制作にどのように関われるかによって、自社あるいは印刷業界の将来の姿は変わってくるのではないだろうか。
とはいえ不透明で不確実な要素が強いので、取り組む上では以下のようなことがポイントとなるであろう。
・一度に大きなリスクを取らずに小さく継続的に試す
・既存のリソースを最大限に活かす
・小さくともリアルビジネスをして活きたノウハウを身につける
(CS部 花房 賢)
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