印刷物制作に関連する業務プロセスの改善やマーケティング活動との連携には、新たな印刷ビジネスの可能性がある。
月6,000万件の請求明細書を印刷
13年前にNTTコムウェア・ビリングソリューション(現NTT印刷)に電話料金の請求明細書の印刷・発行について伺ったことがある。オンラインの請求明細書はほとんど普及していない頃であったため、毎月6,000万件の請求明細書を印刷し、発送しているとのことであった。
毎分220メートルの高速インクジェット印刷によるフルページのカラーバリアブル印刷に切り換えた頃である。
バリアブル印刷を導入する以前は、プレプリント+データ印字の追い刷り方式であり、版の維持管理、プレプリント用紙の在庫管理が必要であり、棚卸費用も発生していた。高速バリアブル印刷によって、資材管理は白紙のロール紙だけに簡素化し、レイアウト変更の対応も容易になったという。
大規模なBPOとしての発送業務
しかし、たいへんなのは月6,000万件のデータ編集、印刷、封入封緘、発送である。
受け取ったデータのチェック、DTP編集は限りなく自動化されている。印刷品質の検査装置は自社開発で特許も取っている。封入封緘後は自動仕分けをおこない、自動倉庫・自動運搬も整備されているという。
また、カラーバリアブル印刷によって、顧客ごとの広告掲載やフィードバックが実現可能になったとのことであった。現在のマーケティング連動の走りとも言える。
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昨今では、あらゆる分野の企業でBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)が取り入れられ、自社の業務プロセスを外部の専門会社に委託されるようになった。
請求明細書やDMなど大量印刷物の制作・発行・発送には、ITやWeb to Printによる業務プロセスの改善に加え、マーケティング活動との連携など顧客の事業に貢献する新たなデジタル印刷ビジネスの可能性が潜んでいると言える。
(JAGAT研究調査部 千葉 弘幸)
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